【知らなきゃ恥】イメージ広告とレスポンス広告の違いとは

マーケティングを学んでいると、こんな疑問を持つことがあります。
「大企業が出している洗練されたイメージ広告と、DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の泥臭いレスポンス広告は何が違うのか?」と。

この2つの広告は、目的も性質も全く異なります。
どちらが優れているということではなく、目的に応じて使い分ける必要があるのです。

本記事では、この2つの違いを解説します。
一読していただければ、2つのコピーの違いを理解できるだけではなく、マーケティングへの造詣も深まります。マーケティングに関わる人なら、必ず抑えておきたい知識です。

では、始めていきましょう。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

イメージ広告とレスポンス広告、それぞれが持つ3つの特徴

イメージ広告とレスポンス広告の特徴を表にしました。

イメージ広告レスポンス広告
目的ブランディング購入
流通間接販売直接販売
媒体テレビ・ラジオ
全国紙(新聞・雑誌)・看板
Web広告全般・SNS広告・
チラシ・業界誌・DM・
FAXDM・フリーペーパー

では、この表をもとに解説をします。

1.イメージ広告とレスポンス広告は、目的が違う

まずは、以下のTweetを見てください。

2つの広告、どちらもユニクロのものです。
一方はイメージ広告、もう一方はレスポンス広告です。イメージ広告はブランディング、レスポンス広告は購入を目的として作られます。

DRMが好きな人なら、ここで疑問を持つかも知れませんね。
「イメージ広告なんて止めて、その費用をレスポンス広告に回したほうが得策では?」と。

そう思うのは当然です。
レスポンス広告はイメージ広告とは異なり、成果が数字でハッキリと分かります。広告のテストと改善を繰り返せばパフォーマンスは上げられ、売上にも貢献します。成否が判然としないイメージ広告にお金を使うよりも、ずっと有意義だと誰もが考えるでしょう。

しかし、それぐらいユニクロをはじめ大企業は分かっています。ブランド力を高めたほうが結果的に収益に結びつくと考えているからこそ、イメージ広告にお金を投じているのです。

理屈はこうです。
イメージ広告によってブランド力を高めておけば、レスポンス広告を打ったときのレスポンスが高まる。

想像してみてください。
認知度や品質が高い企業の商品と、認知度は低く品質が不明な企業の商品、どちらのほうが売りやすいですか。前者ですよね。このようにイメージ広告は、レスポンス広告を成功させるための土壌づくりでもあるのです。

以前、妻にお願いされてユニクロのセールに付き合ったことがあります。妻は、朝5時から並ぶと言うのです。
実際、行ってみて驚きました。早朝にも関わらず100メートル近い長蛇の列ができていたのです。1.3万人しかいない町なのに、よくこれだけの人を集めたなと感心しました。レスポンス広告だけではここまでの成果は出せなかったでしょう。

2.イメージ広告とレスポンス広告は、流通が違う

イメージ広告を打つのは大企業、レスポンス広告を打つのは中小企業と、相場は決まっています。
なぜ、そのような形になるのでしょうか。

それは、流通が違うからです。
たとえば、車や家電のメーカー、FC本社。直接販売はしておらず、取扱店やFC加盟店が販売しています。メーカーは直接販売をしていないのですから、レスポンス広告を打っても仕方がありません。TVCMといったマスメディアにイメージ広告を流し、認知の拡大とブランディングを図ります。

レスポンス広告を出すのは、エンドユーザーに商品を直接販売する会社(取扱店、FC加盟店)です。訴求力の高い広告を出して、お店に足を運んでもらいます。認知度とブランド力が高ければ反応率も高くなります。

このように、間接販売か直接販売かによって、出すべき広告は異なるのです。

ただし、大企業でも直接販売をしているのならレスポンス広告を打っても構いません。たとえば、スマホアプリがそうです。イメージ広告の媒体として使われるTVCMでも、レスポンス広告に寄ったCMを流して、ユーザーを獲得しています。

3.イメージ広告とレスポンス広告は、媒体が違う

イメージ広告とレスポンス広告とでは、適切な媒体が異なります。

イメージ広告は、広く認知させる必要があるため、大衆に発信できる媒体が好まれます。TVやラジオ、全国紙(新聞・雑誌)などがそうです。

一方レスポンス広告は、ピンポイントで訴求する必要があるため、ターゲットを絞れる媒体が好まれます。チラシやフリーペーパー、業界誌などがそうです。これらに加え、ネット広告があります。リスティング広告やディスプレイ広告は、これ以上ないほどピンポイントでターゲットに訴求できます。SNS広告も同様です。

ネット広告の普及により、レスポンス広告の活躍の場が広がりました。これに伴い、DRMやセールスコピーの価値も高まりつつあります。今までは広告コピーと言えばイメージコピーを指していましたが、今後はセールスコピーを指すようになるかも知れませんね。

レスポンス広告の台頭で窮地!? 大手広告代理店と所属コピーライター

イメージ広告はブランディング、レスポンス広告は購入。それぞれ目的が異なり、媒体も異なってくるといった話をしました。上述したように、この2つは同じ天秤では量れません。しかし、効果の計測はそれぞれ必要です。その点、レスポンス広告は問題ありません。問題なのはイメージ広告です。効果の計測が難しいのです。

とは言え、ブランディングにどれだけ寄与しているのかが分からなければ企業も困ります。それならば、効果の見えるレスポンス広告に予算を回そうと考えるところも出てくるでしょう。現に、イメージ広告に使われる予算は年々減少し、レスポンス広告への予算は増加しています。

2012年には2兆8809億円だったマスコミ4媒体広告費(テレビ、新聞・ラジオ・雑誌)は、2021年には2兆2438億円と減少。一方、2012年には8680億円だったネット広告の広告費は、2021年には2兆7052億円と増加し、マスコミ4媒体を超えました。参考:2021年 日本の広告費

あえて計測するなら、レスポンス広告費とイメージ広告費を合算して、レスポンス数で割ってみるしかありません。費用対効果が上がっているのなら、イメージ広告の意味はあったと言えます。

レスポンス広告が台頭して困るのは、大手広告代理店です。
「イメージ広告だから」「ブランディングだから」と、その効果について今までお茶を濁してきたからです。ぶっちゃけ人様(クライアント)のお金でアート制作に興じていた面があります。

大手広告代理店のコピーライターも、クライアントへの貢献よりも広告賞を受賞できるかどうかに意識が向いています。自身が作ったコピーを「作品」と称したり、プロフィールにクライアントへもたらした貢献よりも受賞歴を明示したりしているところからも、その姿勢が伺えます。レスポンス広告に従事する者からしたら、この感覚は理解に苦しみます。

私は自分が携わった広告や販促物を「作品」と称したことは一度もありません。

このような環境下で作られた広告ですから、ブランディングにも貢献しなかったものは山のようにあるでしょう。レスポンス広告の台頭により、効果が不明瞭なイメージ広告への目はますます厳しくなり、広告予算は削られていくでしょう(実際、削られている)。

当然、大手広告代理店もこのことには気づいており、ダイレクト・レスポンス・マーケティングとブランディングをかけ合わせた広告を提供し始めました。これは、いい兆しだと思います。イメージ広告×レスポンス広告をかけ合わせた知見が深まるからです。

マーケティングの世界がどのように変化するのか、これから楽しみです。

【追加(参考)】

まとめ

イメージ広告とレスポンス広告の違いについて解説しました。
2つの広告のバランスや活用法は、徐々に解明されていくでしょう。

もしあなたがセールスコピーライターなら、イメージ広告にも意識を少し向けておいてください。イメージ広告とレスポンス広告をかけ合わせた広告が当たり前の時代がやってきますから。

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この記事を書いた人

深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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