【悪用厳禁】『権威性の法則』で人を従わせるための8大要素

「商品が売れるようになる秘訣を言え。さもなければ命はない」
拳銃を額に突きつけられてそう問われたら、私は0.3秒以内にこう答えるでしょう。

「権威性です」と。

どんなに売れない商品でも、権威性が加われば即売れるようになります。
なぜなら人は、権威に対して服従の態度を示すからです。これを心理学では『権威性の法則』と呼びます。

「本当にそこまで効果があるのか?」とまだ信じられないかもしれませんね。ですが、世の中にはこの「権威性」を活用したマーケティングで溢れています。

たとえば、「◯◯賞受賞」「医者◯◯氏が推奨」「◯◯№1による~~」といったものは、「権威性の法則」を利用したものです。

今回は、そんな権威性について、私が知りうる知識をすべてお伝えします。
記事を読み終えた後は、『権威性の法則』への理解が深まり、活用の仕方も分かるようになります。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

権威性の力を熟知している出版業界

権威性の力を最も熟知しているのは、出版業界です。
「マッキンゼー流の◯◯」「スタンフォード大学式の◯◯」「東大生が選んだ◯◯」といった権威を冠した書籍は枚挙に暇がありません。実用書では特に使われていて、権威性なしではほぼ成り立たないビジネスです。

著者本人の権威性を冠するだけではありません。著名人からの推薦文を帯に載せているのも権威性を利用したものです。

有名な事例の一つに『思考の整理学』があります。1986年に発行された書籍ですが、当時はあまり売れませんでした。2007年に「東大・京大で一番に読まれた本」と帯に記されたことで大ベストセラーになったのです。今でも書店に並んでいるのを目にします。

「権威を持たせれば本は売れる」という事実を熟知している出版業界は、本を売るために様々な賞を用意しています。「芥川賞」「直木賞」「本屋大賞」など、実に30以上あります。著者、推薦者、賞といった権威を活かした出版業界のやり方は、他業種も見習うべきです。

ここから先は、どのような場面で権威性が活用できるのかをお伝えしていきます。

セミナーもWeb記事も権威性が9割

コンテンツを扱っているという意味では、セミナーやWeb記事も書籍と同じです。当然、権威性はここでも発揮されます。

私はセミナー事業をしていますが、講師のプロフィールが集客の成否を分けると知っています。魅力的なプロフィールであれば、受講者は簡単に集められるのです。

Web記事でも同様です。
Googleは、SEOの評価基準の一つにE-A-T(権威性・専門性・信頼性)を挙げています。おそらく、「人はそもそもE-A-Tを基準にコンテンツを評価している」という特性から導き出したのでしょう。

GoogleがE-A-Tを実装するしないにかかわらず、権威性を記事中で示せれば、説得力は高まります。説得力が高まれば、精読率や読者満足度も向上します。

では、どのタイミングで権威性を示せばよいのか。
それは、リード文です。

本題に入る手前で、執筆者のプロフィールを提示しておくのです。いかに実績と専門知識を有した人物が書いた記事なのかを伝えておき、本題に入っていきます。これは、アフィリエイターをはじめ、ブロガーが辿り着いた答えです。

「本題に入る前に権威性を示す」は、心理学的に見ても正解です。先にフレーム(先入観)を読者に与えておき、そのフレーム越しに記事を読んでもらえれば、印象は変わります。

たとえば、大学教授が書いたものだと伝えておけば、「学術的に証明されている内容なのだろう」と信用して記事を読み進めるでしょう。

逆に、記事の最後に筆者を紹介するのは、あまり好ましくありません。フレームを与えずに記事を読み進めることになるからです。それに、全員が最後まで読んでくれるとは限りません。やはり、権威性を示すなら、リード文が適切でしょう。
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なぜ人は、権威にひれ伏すのか

人はなぜ権威性に弱いのか。
どうやらこれは、進化上、人類に根付いている習性のようです。

人間との遺伝子が極めて近いチンパンジーやアカゲザルは、ボスの動きを模倣することが確認されています。ボスが片手を痛めて手を引きずるように歩いていると、下層のチンパンジーらも同じ動作をするようになります。

一種の「へつらい」だと考えられていますが、人間社会でも「へつらい」はよく見られる現象です。お金持ちや成功者を称賛したり、言動を模倣したりするのはまさにそれです。

「へつらい」とまでは言えなくても、「権威のある人の発言を信用する」という態度は、それに近いものがあります。そして事実、誰もが権威の有無を判断材料にしているのです。

権威のある人に従おうとする態度は、生存戦略上、間違っていません。と言うより、間違っていなかったからこそ今も残っているのです。ある人間が自分よりも何かに長けていれば、それを真似ることで早く上手くなれます。

ビジネスでも、成功事例をTTP(Tettei《徹底》:Tekini《的に》: Pakuru《パクる》)などと言われていますが、自分より先にいる存在を模倣することは、理にかなった学習法なのです。

脳科学的に見ても、権威性に従うことには意味があります。思考をせずに済めば、脳の消費カロリーを抑えられるからです。

脳の重量は1,200~1,500gしかないにも関わらず、1日に約400キロカロリーを消費します。加えて、脳を使えば消費カロリーはさらに増えます。スタンフォード大学のロバート・サポルスキー氏によると、対戦中のプロ・チェスプレーヤーは1日に平均6000キロカロリーも消費するそうです。

進化上、消費カロリーが高いのは不利です。その分だけ食料を調達しなくてはいけなくなるからです。そのため脳は、省エネできるところは省エネしようと試みます。権威性に従うのもその一つです。

もし権威性に従わなければ、商品の選定だけではなく、あらゆる選択の場面において費やすエネルギーが増えてしまいます。脳から見ても、権威性には従ったほうが合理的なのです。

権威性によって、人はここまで残酷になれる

心理学の有名な実験の一つに『ミルグラムによる服従実験(アイヒマン実験)』があります。権威のある人から命令された際、人間はどれだけ服従するのかを証明した実験です。

結果から言えば、権威のある人からの命令であれば、人はたやすく人間を殺せるといった知見が得られました。これは幾度も再現実験が繰り返されている信頼のおける実験です。

実験内容はこうです。
生徒役(役者)、先生役(被験者)、研究者に分かれます。
研究者は生徒役に問題を出し、間違えたら電気ショックを与えるよう先生役に指示をします。電流は間違うたびに15ボルトずつ上昇し、どの段階で先生役が「もうやめたい」と言い出すのかを調べました。先生役は、生徒役が役者であることを知りません。電流による痛みは演技で表現しているだけです。実験結果は、61~66%の人たちが感電死に達する電気ショックを与えたのです。

こうした心理が顕著に出たのが、ナチスヒトラーによるユダヤ人大量虐殺です。権威のある者からの命令というだけで600万人もの命を奪えたのは、こうした心理が働いたからだとされています。

もうお分かりいただけたかと思います。
権威性に従うという心理『権威性の法則』がいかに強力なものなのかが。

『権威性の法則』に必要な8大要素

では、ここからは「権威性の法則」活用場面をお伝えします。
全部で8つあります。

1.実績
2.肩書き
3.出版
4.受賞歴
5.メディア歴
6.推薦
7.引用
8.見た目

一つずつ説明していきます。

1.実績

実績は、大きく分けて2種類あります。成果と経験です。
「セールスライティングで3億円稼ぎました」は成果実績です。「今までにセールスライティングを100本書いてきました」が経験実績です。

権威性が高いのは、やはり成果実績でしょう。
インパクトの強い実績を上から順に提示していきましょう。

成果実績がなければ、経験実績を提示します。
経験実績で大切なのは、経験の質です。権威のある人や組織との取引経験があるという実績は、あなたの権威性を高めてくれます。

2.肩書き

肩書きには、資格がなければ名乗れないものと、資格がなくても名乗れるものがあります。権威性が高いのは、前者です。

資格を必要とする肩書きに、「医師」「弁護士」「一級建築士」などがあります。難関資格であればあるほど、級が高ければ高いほど、権威性は高まります。また、民間資格より国家資格のほうが権威性は高くなります。民間資格のフードコーディネーターよりも国家資格の管理栄養士のほうが上位といったように。

一方、資格を必要としない肩書きに、「コピーライター」「デザイナー」「フォトグラファー」などがあります。これらの資格は無価値かと言えば、そうではありません。「◯◯の専門家」といった先入観を相手に与えるため、一定の効果はあります。成果実績と一緒に示せれば、十分に権威性は発揮できます。

3.出版

出版するには、一定の専門知識と実績が必要です。つまり、「出版した」という事実は、一定の専門性を有している証になります。

ここで言う著作物は、商業出版を指しています。自前出版のKindle出版などもありますが、権威性は弱いです。権威性を帯びるとしたら、ランキング上位を取った場合に限ります。

出版で注意してほしいのは、自費出版です。
ビジネスをしていれば、出版社から自費出版を勧められることもあります。100万円以上の費用が必要になります。

しかも、出版社は自費出版本を売る努力はしてくれません。自費出版の場合、収益は著者から得るものであり、購入者(読者)から得るものではないからです。ここが商業出版との大きな差です。

何より、権威性を高める意味においても、あまり意味がありません。

4.受賞歴

「◯◯賞受賞」は、散見されるコピーです。
それだけ効果があるという表れでもあります。

有名な事例の一つに、アカデミー賞に輝いた映画『おくりびと』があります。
受賞前の興行収入は30億円未満でしたが、アカデミー賞受賞後の興行収入は累計60億円を突破しました。つまり、アカデミー賞を受賞したことにより、2倍以上も興行収入が増えたのです。

もし何かしらの賞をもらっているのなら、それは前面に出すべき情報です。受賞歴がないのなら、受賞を狙ってチャレンジしていきましょう。努力するだけの価値はあります。

受賞に近いものに「№1」表記があります。
たまに目にする「お客様満足度№1(◯◯リサーチ調べ)」といったものがそうです。これらも権威性を持たせられるため、可能であれば調査してもらいましょう。

5.メディア歴

一言でメディアと言っても多種多様です。TV、新聞、雑誌といった媒体の種類もありますが、大切なのはメディアの信用度です。

メディアは数よりも質です。
たとえば、B級メディアに10回取り上げられるよりも、NHK番組『プロフェッショナル』に一度でも取り上げられるほうが、権威性は高まります。

商品よりも社長が取り上げられるほうがより好ましいです。権威性は、社長自身の権威性が高まれば、扱っているすべての商品に波及するからです。

メディア露出は、ただ待っていても始まりません。
プレスリリースを送るなどをして、マスメディアに取り上げてもらえるよう努力していかなくてはいけません。プレスリリースにはちょっとしたスキルや知識は要りますが、そんなに難しいものではありません。何よりもまずやってみることです。

取り上げてもらうほかに寄稿するという手もあります。Webメディアを運用している雑誌社もあるため、そこに寄稿を打診してみてもいいでしょう。「◯◯メディアでも記事を書いている」となれば、多少なりとも権威性が高まります。

6.推薦

あなたに権威性がなければ、他人の権威性を借りましょう。具体的には、推薦してもらうのです。

たとえば、食品関連なら、有名な栄養士から推薦文をもらいます。動画でも構いません。

よくある間違いが芸能人からの推薦です。
もちろん、ないよりはあったほうが効果はあります。ただ、権威性の観点から見たら少しずれています。有名人ではありますが、業界において何の権威も有していないからです。

あなたのいる業界、お客から見て、権威のある人から推薦をもらうようにしてください。

7.引用

推薦がもらえなくても安心してください。
無許可で権威を借りる方法があります。引用です。

あなたの主張を裏付ける書籍があれば、積極的に引用してください。書籍のほかに、論文も有効です。論文が複数あったり、有名大学の論文だったりすれば、説得力はさらに高まります。また、偉人の名言(格言)、ことわざも有効です。

書籍や論文から引用を使うには、積極的に情報に触れていなければいけません。引用元は、向こうからやって来てはくれませんからね。

私は専門分野のコピーライティング、行動経済学、進化心理学をはじめ、脳科学や進化生物学、人類学の書籍を読み漁っています。こうしていると、有効な引用先や知見が見つかります。

論文も同じです。私は定期的にGoogle Scholarを使い、1日かけて論文を読み漁っています。

日頃から積極的に情報に触れておくと、いざ必要となった時に、有効な引用を持ってこれます。

※これと似たやり方で、「参考文献」の紹介があります。文末に、参考にした文献(書籍や論文)を載せます。

8.見た目

権威性を高めるのに「見た目」は無視できません。
人は相手の服装によって態度を変えることが分かっています。

『影響力の武器』(著 ロバート・B・チャルディーニ)に書かれていた実験があります。
信号待ちしている人たちに31歳の男性が近寄り交通法規を破る(信号無視して道路を横断)ようお願いします。半分はビシッとしたビジネススーツで、半分は作業着で頼みました。結果は、スーツを着てお願いした時のほうが、作業着を着ていた時よりも3.5倍もお願いを聞いてくれたのです。

見た目だけで、これだけ人を動かす力に差が出るのです。販促効果を高める費用だと思えば、効果なスーツを買ったとしても安い買い物なのかもしれませんね。

こうした心理を巧みに使っているのは、情報商材屋です。
いかに自分が稼いでいるかを誇示するかのように、ブランドの服や装飾品を身に着けています。また、高級車を乗り回したり、ホテルでパーティーしていたりと羽振りのよさをアピールしています。

あなたも情報商材屋に見習い「見た目」にこだわってください。特にプロフィール写真は各所で使うため大切です。イメージコンサルタントから服装のアドバイスをもらい、一流のカメラマンに撮影してもらうのがよいでしょう。

時には服装だけではなく、容姿すら気にかける必要があります。健康関連の商品を扱っているのなら、そこの社長はスリムで若々しいほうがいいに決まっています。

権威性を誇示できる素材集めがセールスライティングの成否を決める

商品を売るための販促物は、素材によってできています。
権威性を示せる素材があれば、セールスライティングを作るのは容易です。素材をただ見せればいいのですから。

「権威性ある人たちから推薦文が寄せられ、大手メディアにも取り上げられ、様々な賞で表彰されている。経営者も肩書きのある研究者であり、書籍も多数出版されている。そんな会社から売られている商品がこちらです」といった紹介ができるなら、こんなにカンタンなことはありません。

「でも、そもそも売れないと素材が集まらないのでは?」といった疑問があるかもしれませんね。鶏が先か卵が先かの論に見えますが、権威性を示す素材については少し違います。

実績といった素材は、確かに商品自体が売れないと集まりません。しかしそれ以外の、メディア歴、推薦、受賞、資格は、商品の売れ行きとはあまり関係がありません。

プレスリリースを送ったり、推薦文をお願いしたりといった地道な努力がものを言います。こうした素材を集めることは、セールスライティングではなく、マーケティング活動になります。セールスライティングの出来は、その後ろに控えるマーケティング活動の影響を多大に受けるのです。

最高の販促物を作るためにも、素材集めを怠らないでください。その努力は確実に売上となって返ってきます。

まとめ

私が知りうる権威性に関する知識は、これがすべてです。
権威性は「書き方」といったライティング手法ではなく、どちらかと言えば「素材」です。素材さえよければ、売れるセールスコピーは作れます。

ぜひ、「権威性」を高める素材を集めてください。

以下、参考文献

『影響力の武器』(著 ロバート・B・チャルディーニ)
『脳にはバグが潜んでいる』(著 ディーン・ブオノマーノ)
『愛と怒りの行動経済学』(著 エヤル・ ヴィンター)

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この記事を書いた人

深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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