【完全保存版】売れるボディコピーの書き方と素材を徹底解説

ボディコピーにこんな印象を持っていませんか?
「文量に対してCVRに与える影響は小さい」

確かに、ファーストビューやCTAに比べると文量は多いです。それに、CVRに与える影響も小さいです。
だからといって、手を抜いていいわけではありません。ファーストビューやCTAが活きるかどうかは、ボディコピーにかかっているからです。

その証拠に、ボディコピーをなくしたら、コンバージョンはほぼゼロになります。しっかりしたボディーコピーがあってこそ、ファーストビューやCTAが活きるのです。

もしあなたが、ファーストビューやCTAを改善してもCVRが高まらないのであれば、それはボディーコピーが原因かもしれません。

ボディコピーに載せる情報が多岐にわたります。何をどの順番で載せるのかは、「ターゲティング」や「売り(強み)」、「説得材料」によって変わります。ある意味、「書く前」の下準備が最も表れる場所と言えるでしょう。

そんなボディコピーの書き方について、私の知る知識をすべて記しておきます。この記事を読めば、ボディーコピーについて深く理解ができるようになります。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

ボディコピーの役割は3つある

ボディコピーには、3つの役割があります。

  • 共感
  • 喚起
  • 説得

基本的には、共感→喚起→説得の順番です。

以下が全体図です。

では、それぞれの役割と書き方について解説します。

「共感」の書き方

まず押さえておきたいのは、人の欲求は2種類あるという点です。
一つは、悩みや問題を解決したいといったネガティブ欲求。もう一つは、楽しみたい、願望を叶えたいといったポジティブ欲求です。

あなたが販売している商品も、どちらかの欲求を満たすためにあるはずです。

この点を押さえて、では「共感」とは何なのか。
それは、お客が抱えている欲求を「言い当てる(言い表わす)こと」です。別言すれば、お客に「そうそう、私が欲しいのはそれなのよ」(共感)と思ってもらえることです。

先述した2つの欲求に分けて、さらに深く解説します。

不快を解消する商品の場合

あなたが扱っている商品が不快を解消するものだとしましょう。
お客は何らかの悩みや問題を抱えています。

まずは、お客が抱えている不快を具体的に表現して、感情を想起させます。次に、お客が知らないリスクやデメリットがあれば、それを教えてあげましょう。そして、抱えている不快を解消する商品を提案するのです。

例文を用意しました。

例文1

広告の費用対効果の悪さに頭を抱えていませんか?
・クリック単価が上昇して採算が合わなくなってきた
・LPのコンバージョン率が日に日に悪くなってきている
・色々と改善したけれどコンバージョンが上昇しない

ネット広告に参入する企業は年々増え続け、どの業界もクリック単価は高まる一方です。また、ユーザーも比較検討を行うようになり、以前のように高いコンバージョンが期待できなくなってきました。

大事なのは改善です。
正しい手順を踏めば、コンバージョンは高められます。しかし、間違った手順を踏めば、どんなに改善しても結果は伴いません。延々と広告費を垂れ流す羽目になります。

では、どこから手を付けていけばいいのか。
その手順をお伝えするワークショップがあります。

一人ひとりに合った改善手順が見つかり、広告の効果が高められます。

例文2

「今日もリスティング広告からの問い合わせは1件もなかった。
書籍に書かれている型の通りにLPを作ったのに成果が上がらない。毎日、広告費だけがダラダラと垂れ流れていく。もう耐えられない」

そんな悩みをあなたは抱えていませんか?
実はあなたのように、型どおりにLPを作ってみたものの成果につながらない、と悩む人は数多くいます。私のもとにも毎月のように相談が寄せられ、中には、何十万ものお金を払ってセールコピーを学んだ人もいます。

確かに、LPにおいて型は重要です。
ですが、型に頼っていても成果は出ません。キーワードや流入口、ユーザーによって、適切なLPの形は異なるからです。

「状況によって適切な型は違う」
この事実に早く気づかなければ、時間だけではなく、お金まで無駄にしてしまいます。

では、どのように型を使い分けたらいいのか。
実は、状況に合わせて適切な型を作り出せるツールがあります。このツールを使えば、状況に合ったLPが自動的に生成されるのです。

大事なのは、「そうそう、まさに私が今悩んでいることは、これ。ああ思い出したら、不安になってきた」と場面や感情を想起させられるかです。加えて、お客が知らないリスクを伝えて「えっ、そうなの!? じゃ、早く問題を解決しなきゃ」と思ってもらえれば、さらにニーズは高まります。

これができれば、どんな形であれ「共感」パートの目的は達成しています。

快楽を提供する商品の場合

あなたが扱っている商品が快楽を提供するものだとしましょう。
お客は何らかの欲望や願望を抱いています。

まずは、お客が抱いている生活・人生・未来を描写していきます。そして、その生活が手に入る商品を提案していきます。

不快を解消する商品とは異なり、快楽を提供する商品は描写が難しいです。正直、かなりの表現力を求められます。なので、できれば写真を使いましょう。特に、食品やインテリア、装飾品といったビジュアル重視の商品は、写真があったほうがお客もイメージしやすいはずです。

もちろん、言葉だけで訴求することもできます。
いくつか例を紹介します。

例文1

その流麗な書き味は優美な余韻を指先に残す。ペン先から漏れる独特な摩擦音が文筆意欲をかきたて、洗練されたデザインは見る者に眼福をもたらす。

書くだけならボールペンや鉛筆でも事足りる。しかし人は、高価で手入れが必要にも関わらず、あえてそれを求め、好んで使う。それほど人を魅了してやまない一本のペン、万年筆。

今回は、その中でも世界中から評価の高い◯◯万年筆を紹介したいと思います。

例文2

生臭さが苦手で塩辛が食べられなかった妻が、今では……
私が酒の肴に食べている塩辛。しかし妻は生臭いのが嫌だと言って、食べたことがありませんでした。そんな妻が、今では大好物としている塩辛。

酒の肴はもちろんのこと、ご飯を食べる時のおかずにもしています。もう私以上に塩辛好きです。

なぜ妻はこうも変わったのでしょうか。
それは、生臭くない塩辛に出合ったからです。

その塩辛とは、~~な製法で作られた特別なものです。

大事なのは、「そうそう、私はこういう生活がしたかったの!」「こういう生活に憧れるわ~」「私もこんな体験してみたいな」と思わせられるかです。

これができれば、どんな形であれ、「共感」パートの目的は達成しています。

共感は腕の見せ所

「共感」パートは、リサーチ力や共感力、表現力といった能力が問われる箇所です。ある意味、セールスライティングの腕前が最も顕著に出るところと言えます。ここが上手い人は、全体的に上手いです。

共感のコツは、しっかりとお客の欲求を捉えて理解することです。そうでなければ、的を外した訴求になってしまいます。しっかりと的(欲求)を捉えて、矢を放つ(訴求する)ようにしてください。

「共感」パートを飛ばしてもよい場合

お客が自分の問題や願望を十分に理解しており、すぐにでも何かしらの商品を購入しようとしている場合は、「共感」パートは省いても構いません。

たとえば、楽天市場やAmazonにいるユーザーがそうです。欲しい物(商品群)があらかた決まっているため、共感パートは必要ありません。また、見込み度の高い検索キーワードから来たユーザーにも「共感」パートは必要ないかもしれません。

「喚起」の書き方

共感を得たら、次は消費欲求の「喚起」を促します。
ここでは、具体的に「どう問題が解決するのか」「どんな楽しい生活が送れるのか」を伝えていきます。

要は、具体的なベネフィットを見せるのです。お金を払ってでも「欲しい」と思わせられるかは、ここにかかっています。

具体的にどう欲求を喚起していけばいいのか。
方法は6つあります。

1.ベネフィットを伝える
2.選りすぐりのレビューを載せる
3.ビフォーアフターを見せる
4.サクセスストーリーを語る
5.直感的に理解できるUSPを作る
6.比較対象をズラして価値を高める

一つずつ説明します。

1.ベネフィットを伝える

「メリットよりもベネフィットを伝えろ」
セールスライティングの世界では、よく聞く台詞です。

ベネフィットの書き方の前に、メリットとベネフィットの違いを説明しておきます。

・メリットとは、商品からの利得(効果・効能・利益)
・ベネフィットとは、メリットから得られる体験・生活・未来

たとえば、「毎回3時間かかっていたデータ収集が15分で終わるようになります。浮いた時間を何に使いましょうか。家族とゆっくり過ごして、子どもの成長を楽しむのもいいですね。自分の時間に充てて読書や映画を堪能するのもいいですね」といったメッセージがあったとします。

メリットは、「3時間の作業時間が15分になる」です。ベネフィットは、「浮いた時間を家族や自分の時間に充てられる」です。

お客が真に欲しているのは、メリットではありません、ベネフィットです。ですが、自分が欲しているベネフィットを自覚している、言語化できているお客はそう多くないでしょう。

そのため、企業側から「こういう生活が得られますよ」と教えてあげると、「そうそう、こういった生活が欲しかったんだ」とお客は欲望を自覚し(喚起)、消費欲求は高まるのです。

顕在化していなかった必要や願望に気づかせる、それが欲求の喚起です。

ただし、ストレートにベネフィットを表現すると、いやらしくなる場合があります。たとえば、恋愛に関するものです。「素敵な女性とSEXできます」と書かれていると敬遠されてしまいます。

そんなときは、それとなく表現します。
バイクや車、時計の広告では、男性モデルの横に美女が写っているものがありますが、これは暗にベネフィットを伝えているのです。

このように、ベネフィットを言葉にすると露骨になる場合は、暗にほのめかすように表現してください。

ベネフィットを伝えなくてもよい場合

「ベネフィットを伝える必要が本当にあるのか」
そんな疑問をお持ちになる人もいるかと思います。

必ずしもベネフィットは必要だとは私は考えていません。

理由は2つあります。
1つ目の理由は、メリットを伝えるだけで、お客自身がベネフィットを想像できる場合があるからです。特に不快を解消する商品は、この傾向が強いです。

書籍『売れる広告 7つの法則』(著 電通九州・香月勝行)では、何百、何千とTV通販の番組を制作してきた知見から、ベネフィットは無理に伝えなくてもよいという結論に達しています。一文を引用します。

考えてみると、現代の消費者は、その商品が自分のどんな課題をどのように解決してくれるのかさえ分かれば、それが自分にとって幸せなことかどうかを自分で判断することができます。だからこそ、わざわざ「幸せ」というフィルターを通じて商品価値を描かずとも、自信を持って商品が解決できることを伝えるだけで、商品の価値は伝わるということなのでしょう。したがって、商品によって解決できることが明確な場合は、直接的な便益を描いたほうが絶対に人を動かす力があると言えます。(p69-70)

書籍『売れる広告 7つの法則』(著 電通九州・香月勝行 妹尾武治 分部利鉱)

解決できる問題が明確だったり、お客のリテラシーが高かったりする場合、ベネフィットはほとんど必要ないでしょう。さらに言えばメリットすら必要ないかもしれません。

仮に、PCの広告のコピーに、「カフェや出張先のホテルが編集スタジオに。楽々と動画編集ができる高性能ノートパソコン」とか書かれていたとします。

私なら「いいから、スペックを見せろ」となります。スペックさえ分かれば、何ができるか想像がつくからです。

「本当にベネフィットは必要なのかな?」と思ったあなたの直感は正しいかもしれません。お客のリテラシーなどを鑑み、ベネフィットを伝えるかどうかを判断してください。

2つ目の理由は、レビューにベネフィットが書かれているからです。企業がベネフィットを語るのと、購入者が語るのとでは、後者のほうが読まれます。十分なレビューがあるなら、あえてここでベネフィットを伝える必要はありません。

では今から、話に出てきたレビューについて解説します。

2.選りすぐりのレビューを載せる

ユーザーは、基本的に企業の言葉を信じません。
企業の言葉を信じてもらえないのなら、購入者の言葉を借りましょう。レビューを使うのです。

レビューの中でも、選りすぐりのものを3つほど用意します。
特に、「購入前の問題or願望」と「購入後に体験したベネフィット」があるものが好ましいです。「購入前の問題or願望」を読んだお客は、「私と同じだ」と共感を覚え、続く「購入後に体験したベネフィット」を身近に感じてくれるからです。

とはいえ、優れたレビューはそうそう届きません。企業のためにレビューを書いてくれるような奇特なお客はいないからです。企業側からレビューを書いてくださいとお願いしなければ集まりません。

理想を言えば、愛用者にインタビューをして、それをレビューとして使いたいところです。インタビュー内容を企業が代筆したとしても、愛用者の顔写真や名前が載っていれば、レビューとして読んでくれます。

こうした方法を上手に活用しているのが『通販生活』です。有名人らのレビューと写真を載せて商品を紹介しています。

1982年創刊ですから、かれこれ40年以上もこのやり方を続けています。つまり、『通販生活』は、「レビュー×ハロー効果」だけで商品は十分に売れることを立証しているのです。

ぜひ、レビューを使ってベネフィットを伝えるようにしてください。

レビューは、真実味が命

レビューは、基本情報となる顔写真、名前、性別、住所、年齢、職業をできる限り載せてください。これらが曖昧だと信憑性に欠けてしまい、どんなにいいレビューでもヤラセに見えてしまいます。
関連記事:『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』が働く5大要素と解説

3.ビフォーアフターを見せる

直感的にメリットを見せられるのが、ビフォーアフターです。
伝え方は、大きく分けて2つあります。一つは、数字。もう一つは映像(写真&動画)です。

数字

変化を数字でしか示せないものは、数字を載せましょう。
コストダウンが売りのサービスなら、導入前のコストと導入後のコストを載せます。偏差値アップが売りの塾なら、入塾前の偏差値と入塾後の偏差値を載せます。

映像(写真&動画)

まず、写真です。説明するまでもないですが、使用前と使用後を見せます。
ダイエット商品なら、太っていた過去の写真と痩せた今の写真。洗剤なら、洗う前(汚れている)、洗った後(ピカピカ)です。

このように、ビジュアルでメリットを伝えられる商品は、ビフォーアフターを用意しましょう。写真を撮る手間だけで済むのですから、やらない手はありません。

次に、動画です。伝わりにくいビフォーアフターは、動画を使います。
英語学習なら学習前と学習後の英語力を、体操教室なら入会前と入会後の運動能力を見せます。

ベネフィットをビフォーアフターで伝える方法

メリットではなく、ベネフィットをビフォーアフターで伝えられないか。
それは不可能ではありません。ただし、とても難しいです。必要とする写真の抽象度が高いことと、ビフォーの素材をなかなか用意できないからです。 

たとえば、体を鍛える商品を扱っていたとしましょう。メリットだけを伝えるなら、身体のビフォーアフターの写真を見せるだけで済みます。

これがベネフィットになると、素材の趣が変わります。ビフォーには運動会の徒競走でビリだった写真、アフターにはトライアスロンに出場している写真が必要になります。

このように、「ネガティブ人生→ポジティブ人生」を表わした素材が必要になります。人生や生活を表した写真や映像は、素材がない場合がほとんどです。あったとしても探しにくいのです。

ベネフィットを写真で表現できない場合はどうしたらいいのか。
先に紹介した「選りすぐりのレビューを載せる」を使うか、次にお伝えする「サクセスストーリーを語る」を使います。

4.サクセスストーリーを語る

サクセスストーリーは、人生のビフォーアフターです。
映画やドラマでは、浮かない主人公が何かをきっかけに挑戦(冒険)をし、成功を収めるまでの話が描かれます。サクセスストーリーの基本構成は、「日常→どん底→成功」です。この構成は、欲求の喚起にも使えます。

映画と違う点は、主人公は冒険をしません。代わりに商品を買います。それが転機となり、成功(幸せ)をつかむのです。

「共感」パートでお客が抱える悩みを伝えた後に、「私も同じような悩みを抱えていました」と、あなたの体験を元にした話を綴っていきます。

もし、あなた自身に体験がなければ、一人のお客の話を取り上げてもいいですし、架空の話を書いても構いません。ただし、説得力や書きやすさで言えば、「自分>お客>架空」の順になります。※描き方に「漫画」という選択肢もあります。

ストーリーの書き方

まずは「日常」パートです。
どんな主人公なのかを紹介しつつ、どん底に入るきっかけまでを描きます。

次に「どん底」パートです。
サクセスストーリーで最も大切なのは、「どん底」のパートです。どん底が深ければ深いほど、成功とのギャップが生まれ、お客の心をつかみます。そして、このギャップが、商品への魅力へと転嫁するのです。

どん底の描写はディティールにもこだわってください。
たとえば、「借金を2,000万円背負った」といったどん底を描く場合、「子どもが持ち帰ってくる給食の残り物が我が家の夕食だった」「夜10時になると借金取りからの電話が鳴る。ベル音を聴いただけで私の胃はギュッと締め付けられた」と描写していきます。「読んでいて辛い」と思わせられるかがカギです。

最後は「成功」パートです。
「それが今ではフェラーリに乗って、銀座の一等地に家を立て、軽井沢に別荘を持っている」と成功を描きます。

「成功」パートでは、なぜ成功したのかは伏せておきます。成功までの経緯は一切書きません。どん底から一気に成功しているところまで話が飛ぶのです。

成功を描いてから、次はなぜ成功したのかを伝えます。
「なぜ私はこのような生活を送れるようになったのか。それは、ある◯◯を知ったからなのです」と、ここではじめて商品に繋ぎます。

どん底時や現在の成功を象徴する写真があると真実味が増します。扱っている商品によっては、写真がないと嘘くさくなってしまいます。可能な限り写真は用意してください。

5. 直感的に理解できるUSPを作る

USPとは、「自社が持つ強みによって、顧客に約束できる利益」を指します。
インパクトのあるUSPを掲げられれば、商品の強みやベネフィットが訴求できます。

USPを作るにあたり大切なのは、短く、そして直感的に理解できる言葉にすることです。お客の頭に「?」を浮かばせてはいけません。ですが、短い言葉で価値を届けるUSPを作るのは、思いのほか大変です。

USPの作成にあたり、書籍『御社の売上を増大させる USPマーケティング ウリ力』(著 加藤 洋一)のフォーマットが参考になります。

この「 A 」をお買いなさい。
そうすれば、「 B 」というウリ(強み)があるので、あなたは「 C 」を得ることになります。
「 B 」といったウリ(強み)は、他の似たような「 A 」では提案できません。なぜなら、「 D 」だからです。

Aは商品名
Bは強み
Cはベネフィット
DはBが得られる裏付け

特に重要なのは、B(強み)とC(ベネフィット)です。ここがメインのウリになります。

A(商品名)とD(裏付け)は、USPコピーに載せる必要はありません。A(商品名)はほかの部分にも載っているため、あえてUSPで書く必要はありません。D(裏付け)も暗示させられれば十分です。

USP成功事例

成功例をいくつか見ていきましょう。

まずは、ダイソンのUSPです。
「ダイソン 吸引力の変わらない ただ一つの掃除機」

ダイソンは商品名(企業名)です。「吸引力が変わらない」は、売りを表しています。「ただ一つの掃除機」は裏付けがあって言っていることを示唆しています。

次に稲葉製作所のUSPです。
「100人乗っても大丈夫」

「100人乗っても」は、分かりやすく丈夫さを伝えています。
また、CMでは実際に人が物置に乗っているため、コピーではなく映像としてD(裏付け)を伝えています。

このように、言葉だけではなく、映像と合わせたUSPを考えてみるのもいいでしょう。

最後に吉野家のUSPです。
「早い。うまい。安い。」

売りの3連発ですね。
売りが一つだと競合と重なる場合もありますが、吉野家のように複数挙げることで独自性を持たせられます。

こうしたUSPで自社の売りを打ち出してから、「説得」へと繋げていきます。

6.比較対象をズラして価値を高める

価値は、何かと比較をしてはじめて判断できます。
欲しいと思った商品と類似品を比較して、買おうかどうかを判断しています。

もし、類似品ではない別の何かと比較させたらどうなるのか。評価は大きく変わります。上手く行けば、自社商品の価値を見積もらせることもできるのです。

ワインのような日本酒

「まるでワインのような味です」と言われて日本酒を勧められた経験はありませんか? 素直な感想から出た言葉かもしれませんが、はからずも比較対象をズラしています。

ワインはピンキリですが、日本酒は高いものでも1万円以下(720ml)です。高いワインと比較することで日本酒の安さが際立ちます。何より、ワイン好きを取り込むきっかけになります。

私が提供する専門特化型サイトの『制作代行サービス』のLPでも、比較対象のズラしを使っています。専門サイトの比較相手は、自費出版と不動産投資です。自費出版と同じ執筆量で専門特化サイトが作れ、収益性がずっと高く、資産として残り続けること。不動産投資の10分の一の予算で、不動産の利益を上回ることを伝えています。

LPを読んだ人は、「確かに、自費出版するよりも専門特化サイトを作ったほうが賢明だわ」「不動産投資をするよりも専門特価サイトを作ったほうが投資効果は高いわ」と思うはずです。

では、何を基準に比較対象を探してくればよいのか。
「目的が同じで、コストが高いもの」「目的が同じで、利得が少ないもの」のどちらかです。

まず、「目的が同じもの」を探してきます。これができれば、9割は完了しています。後は、見つけてきた中から、「コストが高いもの」と「利得が少ないもの」に分けるだけです。

ですが、「目的が同じもの」を探すのは、慣れないうちは大変です。
商業慣習として、商品は目的ではなく、種類で分類するのが常だからです。家電なら家電業界、掃除機は掃除機コーナーと、業界(業種)や陳列はどれも種類によって区分されていますよね。

「料理を美味しくする」といった目的別に分けるなら、炊飯器とレシピ本は同じコーナーに並びます。これが、商品を目的別で区分した時に見える景色です。

空港会社の競合は?

商品を目的別で捉えるには、抽象化が必要になります。具体的には「その商品を買うのはなぜ?(目的)」と問うのです。

一つ問題を出しますね。抽象化して考えてみてください。

問:航空会社の競合はどこですか?

「他社の航空会社」と答えるのは、一番抽象度の低い答えです。次に抽象度が低いのは「鉄道や車、船」という答えです。

答えてほしいのは、「Zoom」といったネット通話です。

交通機関の目的は、「人に会いに行く」「場所に行く」のどちらかです。ネット通話は、「人に会いに行く」をローコストで実現します。コロナ禍も手伝って、「今までは出張していたけれど、ネット通話でも十分じゃないか?」と気づいてしまった人も多いでしょう。

ネット通話を提供する会社は、同業社よりも交通機関と比較したほうが価値は高まります。「出張しなくても交渉ができます」「会議ができます」「プレゼンができます」「セミナーができます」と。

つまり、ネット通話は同業社ではなく、交通機関と比較するのが吉です。このように、抽象度を上げて比較対象を探していきます。

「説得」の書き方

欲求を喚起させたら、次は説得に入ります。
「その商品は欲しいけれど、本当に大丈夫かな?」といった不安や疑念をお客は抱いています。これを払拭しなくてはいけません。

これまでの話は、感情という名のアクセルを踏ませる作業でしたが、これから先は理性というブレーキを緩めさせる作業に入ります。

あなたは、お客を説得させる素材(材料)には、何があると思いますか?
思い当たる素材を挙げてみてください。

科学的根拠? データ? 肩書き?

どれも正解です。

人を説得させる素材は、大きく分けて5種類あります。

1.根拠(論理的な説明、科学的根拠)
2.信頼(実績、特許、社歴、メディア歴、開発物語、理念活動)
3.権威(肩書き、書籍、受賞、メディア歴、推薦)
4.安心(レビュー、実演、保証)
5.比較(比較表、№1)

では、一つずつ説明します。

1.根拠(論理的な説明、科学的根拠)

説得させるうえで根拠は必須です。
不快を解消させる商品やBtoBなら特にです。

まず、なぜメリットを提供できるのか、論理的な説明が求められます。「◯◯成分は△△に作用するため、あなたの悩みの原因である□□をなくせます」といったように。

次に、科学的根拠です。「◯◯成分は△△に作用するという科学的根拠はこうです」「△△に作用したという根拠はこうです」と、分析結果や統計データ、論文を用いて証明します。これに比べて少し弱くなりますが、第三者による「アンケート結果」も有効です。

ビジネスによっては、「根拠」パートが一番見られます。
私はあるクライアントのもとで、化学式を用いて根拠を説明するLPを作りました。商品に興味があるお客は化学に精通しているため、まじまじとその部分を読みます。中には、「分析データを全部見たい」「科学的な話をもっと聞きたい」という問い合わせも来ました。

BtoCなら、ここまでやる必要はないでしょう。
科学的な根拠があるということを示せればそれで十分です。詳しく知りたい一部のお客には、別枠で説明するようにします。

※LPならリンクを踏んでもらい詳細ページに移動してもらうか、折りたたみ枠を開いてもらう。紙媒体ならQRコードを読み込んでもらい、詳細ページに移動してもらう。

2.信頼(実績、特許、社歴、メディア歴、開発物語、理念活動)

信頼には、2種類あります。
一つは、品質への信頼。もう一つは、人柄(意図)への信頼です。

まず、品質への信頼です。
当然、誰もが品質のよいものを購入したいはずです。ですが、実際の品質は使ってみるまで分かりません。

とはいえ、品質を確かめるためにお客はわざわざ買ったりはしません。お客はさまざまな情報を手がかりに、信頼できそうかどうかの判断を下します。後述する、「実績」」「社歴」「メディア歴」がその判断材料になります。

次に、人柄(意図)への信頼です。
誠実な姿勢でビジネスをしているかどうかをお客は見ています。いくら品質がよくても、誠実な姿勢でビジネスをしていなければ、お客はそこから商品を購入しようとは思わないものです。後述する「開発物語」「理念活動」がその判断材料になります。

「品質への信頼」と「人柄への信頼」。まだ、どう違うのか少しイメージできないかもしれませんね。では、以下の例を想像してください。

腕の良い医者がいました。ですが、あなたとその医者は過去に女性をめぐって争いになった経験があります。最後はあなたが女性をものになり、医者から恨まれました。さて、あなたはこの医者から命に関わる手術を受けたいと思いますか?

正直、一抹の不安を覚えますよね。
「あなたの腕(品質)は信頼できるけれど、人柄(意図)は信頼できない」ということはあるのです。

時々、企業の代表が差別的な発言をして不買運動に発展するケースがあります。不買運動に参加している人らは、品質に文句を言っているわけではありません。企業の姿勢に文句を言っているのです。姿勢に信頼が得られなければ、いくら品質への信頼があっても駄目なのです。

それでは、信頼を得る素材について説明します。
関連記事:信頼と安心と信用の違いを理解して、マーケティングに活かす

実績

実績は「販売(導入)実績」「成果実績」に分けられます。

▶販売実績

「販売実績」とは、数・質・例です。
数とは、そのままの意味で、どれだけの数が導入されたのかを指します。販売数が多いほど信頼されます。

質とは、大手企業や官公庁といった箔がつく導入先です。組織が大きいと導入までの審査が厳しくなるため、品質の高さを示せます。

例とは、実力を知ることができる過去の作品例です。デザイナーなら、過去に納品してきたデザインを見せることで実力を示せます。

一言で「販売実績」と言っても、これだけ細分化できるのです。

ビジネスやお客によって、必要とされる販売実績は違います。100もの導入実績を見せても不信感が拭えなかったお客に、大手企業の導入実績を一つ見せただけで簡単に信頼してもらえた、なんてこともあります。

デザイナーなら、実績数や質を自慢するよりも、作品例を見せたほうが話は早いでしょう。実力があれば、導入実績がなくても仕事は取れます。

▶成果実績

「成果実績」とは、お客に与えた成果を指します。
商品によっては、経費削減、売上増、減量、時短といった結果を売っているものもあります。実際にどれだけの成果を挙げてきたのかを示せれば信頼されます。

たとえば、「昨年の東大合格者30名」「10名中8名が20%増収」「成婚率92%(2022年度)」「コスト削減成功率86%」といったように。

レビューがなくても、実績を示せるだけで十分に意味があります。

既存客に「成果を教えてください」と聞き出し、「その実績を公開してもいいですか?」とお願いして了解が得られれば、広告物に載せられます。

お願いするのはタダです。成果の調査をしていないのであれば、どんどんしてください。

特許

特許を取得しているのであれば、それを明示しましょう。
世間一般的には「特許=すごい発明」というイメージが持たれています。「すごい」かどうかはさておき、特許取得の条件に、新規性や進歩性が求められているのは確かです。よって、特許を打ち出せば、類似性商品とは異なることを示唆できます。

特許を取得したら特許証が送られてくるはずです。特許証を広告物に載せるようにしましょう。

例外的に、薬機法の制限を受ける商品群は、特許を取得していたとしても表記できません。

社歴

社歴はその名の通り、会社の継続年数です。
社歴の長い会社や老舗と呼ばれるお店は、それだけで一定の信頼が得られます。
心理学的にも、人は古いものに価値を見出すことが分かっています。

もしかしたら、日本人は特にその傾向が強いかも知れません。
なんせ、100年以上の歴史を持つ会社は日本に3万3千社以上あり、世界でもぶっちぎりの1位です。

社歴の長さを誇れるのであれば、前面に出すようにしましょう。
参考論文:Longer is better.

メディア歴

メディアに取り上げられた事実は、信頼性に寄与します。
メディアは、粗末な商品や情報を紹介しないといった信頼が担保されているからです。

また、コンプライアンスの観点から、取り上げる会社や商品についても一通り調べるため、信頼性は大きくなります。

私も過去に扱っていた商品が、大小様々なメディアに取り上げられました。大手ほど反響が大きかったのを覚えています。反響数の差は発行部数の差では説明できないほどです。やはり、大手メディアになるほど信頼性が高くなるため、興味を示す人が増えるからだと考えられます。

想像してみてください。
地方紙に取り上げられるのと全国紙に取り上げられるのとでは、どちらのほうが「すごい」と感じますか? おそらく全国紙だと思います。全国紙のほうが信頼性が高いからです。

メディアに取り上げられた事実があれば、大手から順に載せるようにしましょう。

開発物語

商品にまつわる苦労話があれば、載せるようにしてください。
開発物語を読んだお客は、開発者に親近感を覚えますし、商品への情熱もお客に伝わります。

ストーリーの構成は、「日常→きっかけ→試練1→成功→試練2→成功(商品完成)」にしてください。映画でも使われる、定番のストーリーです。

もう少し具体的に言えば、
・商品を開発する前の日常(設定)
・商品を開発するきっかけと決意
・一つ目の試練1(ピンチ)に直面する
・何とか乗り越えて成功を収める
・さらに大きな試練2(ピンチ)に直面する
・何とか乗り越えて商品の開発に成功

開発物語は、時に、LPには載せられないほど長文になることがあります。その場合は動画にしてもいいですし、別ページを用意してもいいです。この後でも説明しますが、会社概要に載せておくのも手です。

開発物語は、チラシやDMといったアナログ媒体で使われているのを時々目にします。開発物語に共感したお客は、その後ファン客になる可能性が高いため、その効果を知っている会社は開発物語をずっと載せ続けます。私もその効果を目の当たりにしてきた一人です。(詳しくは、口コミ&紹介を増やして新規客を集客する方法

開発にまつわる物語があるのであれば、お客に見せられる形にしてください。

理念活動

開発物語がなくても、同様の効果、いやそれ以上に効果を発揮するものがあります。「理念活動」です。

「理念活動」とは私が作った造語です。企業理念(会社理念)を行動に移している様をそう呼んでいます。

人が誰かを信頼するのは、その人が何を言ったかではありません。何をしてきたかです。つまり行動です。理想を掲げ、それを実際の行動に移している人(言行一致)に信頼を寄せるのです。

好例として『通販生活』があります。
読まれたことのある人はご存知だと思いますが、「通販生活」は環境問題への意識が高く、商品選定にもそれが表れています。

ほかにも、政治や国際社会といった話題を紙面上で扱い、企業自体も様々な活動をしています。こうした姿勢は、お客から強い支持を得ています。

もしあなたの会社に「企業理念」があるならば、それをどう行動に移しているのか、移してきたのかを伝えてください。こうした活動が信頼に繋がるのです。

コラム / 会社概要を使い倒せ

「開発物語」「理念活動」は、LPやセールスレターに書くには、長すぎる場合があります。そうした際、LPでは「会社概要」ページに記載してください。(DMといったアナログ媒体なら、別紙や会社案内に記載)

実際、購入意欲のあるユーザーは会社概要を見に行きます。信頼できる会社かどうかを見極めるためです。

試しに一度、CVしたユーザーの経路をGoogle Analyticsで調べてみてください。会社概要を覗いている人が一定数いるはずです。

3.権威(肩書、書籍、受賞歴、メディア歴、推薦)

ビジネスにおいて「対等」なんてものは存在しません。そんなものを信じているのは、現実を知らない甘ちゃんです。

ビジネスは、必ずどちらかの立場が上になります。通常は、お客の立場が上ですが、「権威性」があれば、売り手が上にもなれます。

お客よりも立場が上になれば、「買いなさい」の一言でお客は商品を買っていくようになります。「まさか!」と思うかも知れませんが、現にあなたも経験しているはずです。

あなたは病院で医師から「お薬出しておきますね」と言われた経験があるはずです。その時、その薬についての詳細な説明や価格を教えてもらいましたか? ないと思います。説明もなしに薬を出されているはずです。しかもあなたは「ありがとうございます」とお礼まで言う始末です。

私が権威の影響力に気づいたのは、ランチェスター戦略の竹田陽一先生のセミナーに参加した時でした。
休憩中、受講生の一人(経営者)が竹田先生に駆け寄り、「ここの部分が分からないのですが」と質問をしていました。竹田先生は「今回そこはやらないから、◯◯っていう教材を買いなさい」と言ったのです。受講者は「はい分かりました。◯◯ですね。早速帰ってから買います」と喜んでいました。

このやり取りを見ていて、私は衝撃を受けました。「今、竹田先生、商品を売った(セールス)よね」と。立場が違うとセールスの世界も変わるんだと悟ったのです。竹田先生には申し訳ありませんが、セミナー以上の収穫でした。

では、権威を高める素材とは何か。
以下の5つです。

肩書き
書籍
受賞歴
メディア歴
推薦

です。

肩書き

肩書きは、権威性を高める最強の武器です。
権威性を高める肩書きは、大きく分けて2つあります。一つは「資格」。もう一つは「地位」です。

まずは、「資格」から説明します。
資格は、社会的な評価の高いものでなくてはいけません。難関の国家資格、または、名の通った民間資格です。ちんけな一般社団法人が作った資格に価値はありません。

一つの資格では競合が多くなるため、複数の資格を保有して差別化するのがお勧めです。組み合わせ次第では、オンリーワンになれます。

次に「地位」です。
「大学教授」「大学客員教授」といった肩書きは、社会的地位の高さを示し、権威性を高めます。社会的地位が高いとされる肩書きを持っているなら、それを表に出すようにしましょう。

書籍

書籍も、権威性を高める強力な武器です。
ただし、出版社、販売部数によって権威性の強さは変わってきます。
大手出版社、専門特化している出版社ほど、権威性は高まります。

注意してほしいのは、間違っても出版社から自費出版しないことです。お金と時間を無駄に浪費します。もし、自費出版したいのなら、出版社を通さずに行う、Kindle出版にしましょう。費用はかかりませんし、印税も多くもらえます。

出版が上手くいけばセミナー講師としても呼ばれるようになります。そうなれば、権威性はさらに高まるでしょう。

受賞歴

受賞歴は一種のお墨付きです。
「◯◯大賞受賞」「◯◯部門№1」といったものがそうです。こういった受賞は、第三者によって品質が認められたことを端的に表現してくれます。

私が住む広島のお酒に、全国新酒鑑評会金賞を受賞した日本酒『雨後の月』があります。受賞後、脚光を浴び、販売数を伸ばしていきました。

一つの受賞が認知度を高め、販売に大きな影響を与えます。業界に何かしらの表彰制度があれば、エントリーしてみるといいでしょう。

メディア歴

メディアでの取り上げられ方によっては、権威性を高められます。

権威性を高められるメディア露出の条件は、2つあります。
一つは、大手メディアに取り上げられること。もう一つは、商品よりも人が取り上げられること。

たとえば、NHK番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に取り上げられたらどうでしょうか。取り上げられた人の権威性は高まり、その影響は、その人が関わる商品すべてに波及します。

メディアは、人を取り上げる際は、取り上げた人を「すごい人」に見えるような演出をします。これにより権威性が高まるのです。

「人」を取り上げている番組はいくつかあるため、探してプレスリリースを送ってみましょう。

推薦

権威を持つ人からの推薦は、文字通りのお墨付きになります。

大事なのは、お墨付きを与える人がどれだけ権威を持っているか、です。業界に精通している人(造形の深い人)から推薦(お墨付き)をもらうことが大事です。

たとえば、冷凍食品やレトルト食品であれば、プロの料理人や料理研究家からの推薦をもらうようにします。(「権威者が開発に携わった」というアプローチでもいいです)

「推薦をもらうのは難しい」という場合の秘策もあります。
権威者に使ってもらうのです。

またまた地元のお酒の話ですが、日本酒『賀茂鶴』は、オバマ大統領が飲んだお酒としてPRしています。安倍総理との会食の際に出されたお酒というだけで、別にオバマ大統領が絶賛したわけではありません。ですが、「接待時に使われたお酒=プレジデント向けに選ばれた」となるため、権威性が高まるのです。

4.安心(レビュー、実演、保証)

安心とは、「多分、大丈夫そう」といった印象を持たせることです。大事なのは、雰囲気、つまりは安心感です。真の安心なんてものはありません。安心感さえ演出できれば、それでいいのです。

安心感を演出するものは3つあります。
レビュー、実演、№1です。

レビュー

「安心感」を醸し出すのに最も使われているのがレビュー数や販売数(購入者数)です。
「買って良かったです」といったレビューが何十も載っていたら、それを見た人は「なんだか、大丈夫そう」と思いはじめます。

レビューには、真実味が欠かせません。レビューにイメージ画像や匿名が使われていたら、ヤラセに見えてしまいます。

レビュワーの情報はできるだけ開示してください。写真、名前、性別、住所、年齢、職業のあるレビューには、真実味があります。加えて、手書きや動画による感想があれば、真実味はさらに高まります。

また、自慢できるような販売数であれば、それも前に出しましょう。たくさんの人が買っているという事実は、安心材料になります。

実演

実演は、商品の特徴を伝えるとともに安心感も与えます。
路上販売やTV通販では、誰でもカンタンに試せることをやって見せます。それを見ている人は、「こんなカンタンに試せることで嘘をつくハズがない」と思うため、真実味が増すのです。

実演は、動画が最適でしょう。
LPなら動画を埋め込めばいいですし、紙媒体なら動画のQRコードを埋め込むようにします。

保証

成果が得られなかった場合、どのような保証を設けるのかを伝えます。十分な保証を提示することで、お客は安心感を覚え、同時に品質への自信を感じ取ります。

よくあるのが返金保証です。
分かりやすく、納得しやすい、です。

ですが、保証は何もお金を返すだけではありません。
「結果が出るまでサービスを受けられる」といった最後まで約束を果たすという姿勢も保証の一つです。

「どんな保証なら、安心感を与えて自信を感じ取ってもらえるのか」と自問し、保証内容を考えてみてください。

※通常、「保証」はクロージングコピーに使われる要素ですが、「安心」に絡むため、ここでも取り上げさせていただきました。

5.比較(比較表、№1)

一つ質問です。
同じセールスライティングを使う、LP(ネット媒体)とセールスレター(紙媒体)の一番の違いは何だと思いますか?

それは、「比較検討」です。

検索エンジンからLPへ来た人は、必ず他社との比較をしてきます。一方、紙媒体のチラシ、DM、FAXDMといった媒体を見た人は、比較をほとんどしません。

アフィリエイターは、「比較記事」を必ずと行っていいほど作ります。それだけ比較記事を経由してコンバージョンする人が多いからです。つまりネットユーザーにとって、比較情報は購入を決めるうえで重要であることを表しています。

比較表

比較表は、ひと目で他社との違いが分かります。
横に自社、A社、B社と並べ、縦に特徴や機能を並べます。◯△☓や数字を使って評価していきます。

ただし、お客によっては比較表を嫌います。
私の弟は、比較表を載せている企業を見るとげんなりすると言っていました。他社を貶めて自社の自慢をしているように映るからだそうです。

比較表がどう映るかは客層によって異なるため社内で検討してください。

№1

№1は、競合との比較によって得られるものを指します。

たとえば、「シェア№1」は競合との比較結果です。
「楽天市場 ◯◯部門 ランキング№1」は、同業者がいる中での1番という意味になります。自社商品の中での「1位」とは意味が違います。

競合との比較結果から№1を謳えるかどうかは、ポジショニング戦略次第です。ポジショニング戦略が上手くいっていれば、「№1」が謳えるようになりますし、そうでなければ謳えません。つまり、セールスライティングにおける、「№1」の表記は、ポジショニング戦略にかかっているのです。

「№1」の表記から分かる通り、セールスライティングは戦略の影響が色濃く反映されます。セールスコピーライターは、ポジショニングやマーケティングといった戦略も同時に練っていかなくてはいけないのです。

比較や№1を使う際は、細心の注意を払ってください。
景品表示法には、「比較広告」に関する規制があり、比較が公平かつ客観的な数字や事実に基づいている必要があります。競合によるチクリで消費者庁からチェックが入ったとしても、根拠を示せるものにしてください。
参考:比較広告 / 消費者庁ホームページ

補足説明

説得の素材は、状況に合わせて順番を考える

説得の素材となる「根拠」「信頼」「権威」「安心」「比較」をそれぞれ紹介しました。どれを載せるのか、どの順番で載せるのかは、ターゲット客や商品、状況によって異なります。

ターゲット客の立場になって、情報の優先順位を考えてください。基本は、優先順位の高いものから載せていきます。

商品説明(スペックと価格)について

ボディコピーの目的は、今までお伝えしてきた「共感」「喚起」「説得」の3つです。目的ではありませんが、ボディコピーでは、「商品説明」もしておかなくてはいけません。

「商品説明」では、商品の外観や寸法、成分、機能といったスペックと価格を伝えていきます。

スペックに特徴や強みがあれば、強調しても構いません。スペックを伝え終えたら、価格を提示します。限定性や値引き(割引)は、定価を提示してからにしましょう。

価格をボディコピーに入れるか、クロージングコピーに入れるかは、意見が分かれるところです。本記事では、商品説明の中に価格提示を含ませているため、ボディコピー内に入れています。

「比較対象をズラして価値を高める」を使って価格を安く見せる

「喚起」でもお伝えした「比較対象のズラし」は、価格を提示した後にも使えます。「ちょっと高いな~」と思われるようでしたら、類似品ではなくほかの商品類と比較して価値を高め、相対的に価格を安く見せましょう。

まとめ

セールスライティングにおける、ボディコピーについて説明しました。
18,000文字を超える大作です。いや~~、本当にきつかった。

ボディコピーは、パーツの数が多いため、構成に頭を悩めます。ですが、構成は直感に任せていいと私は考えています。

大事なのは、どんなパーツがあり、どんな役割を担っているかを知ることです。これが頭に入ってさえいれば、「うちのお客ならこの順番で説明したらいいな」とある程度判断がつきます。

それに、今はABテストやヒートマップなど、改善ツールが豊富です。直感を磨ける環境が整っています。こうしたツールを駆使すれば、遅かれ早かれ、正解にたどり着くはずです。

セールスライティングは、作ってからがスタートです。一回で正解が出せるなんて思わないことです。何度も改善していき、最適化していくものなのです。

以上、ボディコピーを書く時に悩んだら、また立ち寄ってください。記事も定期的に編集・加筆していきます。

以下、参考文献

『売れる広告 7つの法則』(著 電通九州・香月勝行)
『御社の売上を増大させる USPマーケティング ウリ力』(著 加藤 洋一)

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この記事を書いた人

深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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