セールスライティングに使える10の「書き出し」

「気の利いた書き出し(一行目)を書きたい。けれど、なかなかよい書き出しが思い浮かばない」
そんな経験ありませんか?

書き出しは、文の方向性を左右します。
ここを失敗すると、続く文は明後日の方向に向かってしまい、冗長になります。要は、駄文になるのです。

そこで今回、「書き出し」の型(パターン)を用意しました。このパターンを参考にしてもらえれば、書き出しに悩むことはほとんどなくなるでしょう。

本記事は、セールスライティングを想定していますが、ほかのライティングでも応用可能です。

それでは、書き出しのパターンをご紹介します。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

「書き出し」の10の型(パターン)

1.「~~したい! でも、なかなか~~できない」

この記事の冒頭の書き出しがまさにこれです(戻ってもう一度読んでみましょう)。
人は、問題を解決した生活や理想を叶えた人生を送りたいと願っています。しかし、そのために何をしたらいいのか分からない、分かっているけれどできない、そうやって立ち止まっている人が大半なのです。

見方によっては、企業が提供する商品は、「立ち止まっている理由」を解消させるためにあると言えます。

たとえば、やり方が分からない人には簡単にできる商品を、お金がない人には安く買える商品を、時間がない人には短時間で済む商品を、モチベが続かない人には楽しく取り組める商品を、企業は提供しています。

「立ち止まっている理由」を解消させる商品を勧める際に役立つのが、今回の書き出しです。

例文

「もっと痩せたい。でも、忙しくてなかなか運動できない」
そんなあなたに、自宅にいながら1日5分続けるだけで内臓脂肪が落とせるストレッチをご紹介します。激しい運動の必要もなく、息切れすることもありません。軽くウォーキングする程度の運動量で十分です。

2.「~~~に困っていませんか?」

悩みを解決する商品には、万能に使える書き出しです。
二行目からは、困っている場面を具体的に描写します。描写が終わったら、商品の提案をします。

例文

あなたは、セミナー集客に悩んでいませんか?
意気揚々と打ち出したセミナーの告知。しかし、人は一向に集まらず、不安に襲われた経験、主催者なら誰しもあるはずです。

私も同じでした。「もし会場がガラガラだったらどうしよう」と思い悩み、眠れない日があったものです。

ですが、今は集客で頭を悩ませることはほとんどありません。なぜなら、人が集まる案内文の書き方を見つけたからです。

類似「~~な悩みを抱えていませんか?」

類似した書き出しに、「~~な悩みを抱えていませんか?」があります。続く文では、困っている場面をいくつか箇条書きにしていき、解決策を提示します。セールスライティングではよく見るパターンなので、覚えておくと便利です。

例文

Webサイトからの売上が上がらず、悩んでいませんか?
「アクセス数はあるのに、売上に繋がらない」
「WEBページのコンバージョンが1%もない」
「コンテンツを作り続けていかないといけない」
こんな悩みを抱えている経営者は少なくありません。

実は、このような悩みは意外と簡単に解決できます。
情報の載せ方を少し改善するだけで、売上は何倍も上げられるのです。

少ない労力でCV率を上げる方法が知れるセミナーがあります。
講師はAA氏。月商1000万円の化粧品通販部門を運営し、3Dプリンター出力代行のネット販売も手掛ける方です。

そんなAA氏に、WebサイトからのCVを2倍に増やす秘訣について、お話ししていただきます。セミナーは初心者でも分かる構成にしてあります。

では、セミナー内容をご紹介します。

3.「~~と思っていませんか? しかし、それは間違いです」

潜在ニーズを掘り起こすには、どうしたらいいか知っていますか?
読者が正しいと思っている常識をひっくり返すのです。

安全だと思っていたものが実は有害だった。有害だと思っていたものが実は安全だった。このように常識をひっくり返せれば、販促の機会が生まれます。

そんな時に使える書き出しです。

例文

ダイエットにはカロリー制限が必要と思っていませんか? しかし、それは間違いです。

痩せたければカロリーは十分に取らなくてはいけません。
なぜなら、カロリー制限は身体を飢餓状態にするため、余計に脂肪を溜め込もうとしまうからです。これではたとえ痩せたとしても、すぐにリバウンドしてしまいます。

ではどうすればいいのか。
カロリーを十分に摂り、脂肪を燃焼させるよう仕向けていくのです。

「カロリーを抑えなくても痩せていくダイエット法なんてあるの?」

はい、それがあるのです。
◯◯◯◯ダイエットです。

関連記事:読者の心を鷲掴みにするクリティカルライティング

類似「もしかして、◯◯をしていませんか? それでは失敗します」

類似した書き出しに、「もしかして、◯◯をしていませんか? それでは失敗します」があります。

すでに何かしらの行動をしている人に向けて書いている点が、先に紹介した書き出し「~~と思っていませんか? それは間違いです」と異なります。行動している分、ショック度はこちらのほうが大きいでしょう。

ショックのあまり怒りを覚える人もいるかも知れませんね。それはそれで読んでもらえたり、シェアしてもらえたりするため、益にもなりますが、挑発しすぎるような表現は控えたほうがいいです。

書き方は、上記とだいたい同じです。

例文

もしかして、ダイエットのためにカロリー制限をしていませんか? それでは失敗します。

カロリー制限は身体を飢餓状態にするため、余計に脂肪を溜め込もうとします。これでは、たとえ痩せたとしても、すぐにリバウンドしてしまいます。

ではどうすればいいのか。
カロリーを十分に摂り、脂肪を燃焼させるよう仕向けていくのです。「カロリーを抑えなくても痩せていくダイエット法なんてあるの?」

はい、それがあるのです。
◯◯◯◯ダイエットです。

4.「想像してください」

問題を解決した未来、願望を叶えた未来を想像させたい時に使ってください。表現次第では、お客の欲求を喚起させ、消費意欲を駆り立てられます。

例文

想像してください。
あなたが書いたセールスコピーによって注文が倍以上になった未来を。

LPのCVRは向上し、毎日、何十、何百通もの注文メールが届くようになります。広告のクリック率も向上し、メルマガやDMからの売上もうなぎのぼりです。上司からの評価は高まり、同僚からは羨望の眼差しで見られることでしょう。

そんな未来を掴むセールスライティング・スキルを手に入れたくはありませんか?

5.「~~したいと思いませんか?」

この書き出しは、現在と未来を対比させる時に使えます。
「~~したいと思いませんか?」は、「~~」ができていない前提であるため、対比構造に持っていきやすいからです。

例文

海外に移住してのんびりと暮らしたくはありませんか?
朝食をゆっくりと取り、エメラルドグリーンの海を眺めながらの散歩。通勤ラッシュに揉まれることなく、10時頃からゆっくりと仕事をはじめてられます。夜は、家族と夕食を共にし、その後は映画や読書に浸ります。休日は週3日です。

そんな生活、日本でできますか?

少子高齢化において、日本の税金は今後も上がり続けるでしょう。賃金も上がらず、国民の生活は年々悪くなるばかりです。日本よりも税金の安い海外に移り住んだほうが、ずっと豊かに生活を送れると思いませんか?

優秀な人材は海外への移住を始めています。
実際、海外に移住する人たちの層は、年収◯◯◯◯万円以上が多いですね。有名芸能人で言えば、AAさんやBBさんが近年海外移住をしました。

このまま沈みゆく日本と運命をともにしますか? それとも、子どもの将来のため、老後のために移住を選択しますか? 後者を選ばれるのなら、この先をお読みください。あなたに最適な移住先が見つかるはずです。

6.「主語+感情」

「メロスは激怒した」
言わずと知れた『走れメロス』(太宰治)の書き出しです。

実は、嬉しい、悲しい、怒り、といった感情ワードは強力です。ほぼ確実に読者の注意を引きます。

「私は怒りに震えました」
「きっとあなたは憤慨するでしょう」
「相談者が突然泣き出しました」

こういった書き出しをされたら、人は二行目を読まずにはいられません。

セールスライティングの場合は、「あなた+感情」が有効です。読者向けに書いているため、主語が「あなた」になっているほうが響くからです。

二行目以降は、描写を続けてもいいですし、感情的になる(なった)理由を説明してもいいです。

例文

心理学を志してきたあなたは、きっと嘆くに違いありません。
今まで勉強してきたことは一体何だったのかと。

近年、広く唱えられてきた説はことごとく再現実験に失敗しているのをご存知でしょうか?

たとえば、表情フィードバック仮説、マシュマロテスト、「目」の効果(目の画像による向社会性の向上)、スタンフォード監獄実験、宣誓効果、分離脳実験、脳画像の持つ説得力、1万時間の法則、ダニング・クルーガー効果、マクベス効果、グロース・マインドセット理論、ステレオタイプ脅威、ピグマリオン効果、社会的プライミング効果、授かり効果、オキシトシン点鼻薬の信頼性効果、赤の魅力効果(ロマンチック・レッド)などがそうです。

これらの説や理論を唱えた大学では効果が見られたかも知れません。しかし、再現実験(追試)をしたほかの大学では同様の効果は見られませんでした。

こうした事象が立て続けに起こっており、「心理学は科学ではない」とまで囁かれる始末です。

心理学を学ぶ者としては、再現実験にパスしたものだけを知りたいものです。それ以外の説は、いつ覆されるか分かりません。もし覆れば、それまで学んできた時間が無駄になります。

とはいえ、再現実験をパスしたものだけを抽出するのは素人では難しいです。そこで、再現実験に成功したものだけを集めたレポートをご用意しました。

7.「(台詞)」

「」からはじまる書き出しは、小説やエッセイでも使われる書き出しです。
できれば、インパクトの強い言葉が入ればなお有効です。

例文

「なんじゃこりゃーー!」
洗濯機に浮かぶカビを目にして、私は声を上げた。

つい先月、洗濯機のカビ洗浄をしたばかりだというのに、目の前には水面を覆いつくすカビカビカビ。

新しい洗浄液を進めてくれたのは、古くからの友人だった。「本当にびっくりするから」と言われ、ものは試しで使ってみた。

何でもこのカビ洗浄液は……

8.出題

問題意識や疑問を感じてもらう書き出しに、「出題」があります。記憶の定着にも有効なため、印象付けしたい情報を出す場合に有効です。

例文

人口が8,000万人を割るのはいつでしょう?

答えは、2065年頃です。

この頃には、65歳以上の高齢者が人口の半数を占めています。

このままでは日本は~~
では、どうしたらいいのでしょうか。

それは……

ほかには、頭に数字を持ってきて、答えてもらう手もあります。

例文

1.13人。この数字は何だと思いますか?

答えは、東京における合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)です。
※2020年算出人口動態統計

いきなり問題を出さずに、「問題です」とワンクッションを置いても構いません。また、選択肢を設けたやり方でもいいです。

例文

問題です。
2045年までに起こることは次のどれでしょうか。

□ 3戸に1戸が空き家
□ 国民の半数が65歳以上
□ 火葬場が不足
□ 自治体の半数が消滅

答えは、全部です。
なぜ、こんなことになるのか。その原因は少子高齢化にあります。……

では、どうしたらいいのか。……

9.強いワード(単語)

書き出しは、その文全体の印象に強い影響を与えます。さらに、書き出しの最初にある単語の影響を最も受けます。心理学ではこれを「初頭効果」と呼びます。

初頭効果を表した有名な実験があります。以下の2つの文を見せて、それぞれどんな人物像を思い描くかを被験者に尋ねたものです。

・彼は知的で、勤勉で、衝動的で、批判的で、頑固で、嫉妬深い
・彼は嫉妬深く、頑固で、批判的、衝動的、勤勉で知的

ただ順番が違うだけです。しかし、前者を見た被験者は、比較的ポジティブな印象を持ちました。後者を見た被験者は比較的ネガティブな印象を持ちました。

具体的には、
前者は、「幸せそうだ」32%、「雰囲気が良い」74%、「節度がある」64%
後者は、「幸せそうだ」5%、「雰囲気が良い」35%、「節度がある」9%
と評価しました。

どんな感情を読者に持たせたいのか。それをまず考え、その感情を最も抱かせる単語を前に持ってくるようにしてください。強く印象付けされるため、続く文も読まれやすくなります。

10.「お願い」

私に5秒間ください。
二行目を必ず読ませる書き出しをお見せします。

その書き出しとは、

今の「5秒ください」が、それです。

「◯◯してください」「◯◯をください」は、気を引くアプローチです。特に数字との相性がよいです。

たとえば、「5月14日、私に30分ください」と書けば、読者は何事かなと思うはずです。ほかにも「あなたが◯◯でないなら、この手紙は読まないでください」と、色々な使い方ができます。

「お願いがあります」とワンクッションを置いてから、お願いするのもありです。

まとめ

以上、セールスライティングに役立つ書き出しでした。
一行目はもちろんのこと、話の途中でも使える書き出しです。
私も実際に使っているものばかりです。ぜひ、お役立てください。

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この記事を書いた人

深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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