読者の心を鷲掴みにするクリティカルライティング

「クリティカルシンキング」をご存知でしょうか。
「批判的思考」と訳されますが、批判をするのが目的ではありません。「常識や前提を疑って考える」といった姿勢(思考)をクリティカルシンキングと呼びます。
※クリティカルシンキングを「批判的思考」と訳すのは誤解を招くため、私は変えたほうがいいと考えています。

クリティカルシンキングは、新しい発想の源泉です。
「そもそも」「本当に?」「なぜ?」と常識を疑い、常識とは異なった主張を唱えたり、「もしかしたら」といった仮説を立てたりしていきます。そうした思考の先で、新しい事実や真実を見つけたり、新しい着想が生まれたりします。

もしあなたがクリティカルシンキングによって、新しい事実や真実、着想を得たなら、これからお伝えする『クリティカルライティング』と『新常識ライティング』に沿って文章を組み立ててください。最も読みやすく、インパクトのある形にできます。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

あなたのクリティカルシンキング力はどれぐらい?

クリティカルライティングの書き方に入る前に、あなたのクリティカルシンキング力を試してみましょう。
1分間、何か常識を疑ってみてください。

どうぞ。

いくつ出てきましたか?
そうそう出てきませんよね。

私が疑った常識は、
「そもそも、人が生きる目的は幸せになることなのか?」
「本当にロジカルシンキングで問題解決するのか?」
「なぜ、給食はご飯が出る時も牛乳が出てくるのか?」
です。

上記の3つを実際に調べてみました。
詳しい解説は割愛しますが、とりあえず要点だけ。

問「そもそも、人が生きる目的は幸せになることなのか?」
:人は「幸福感」に慣れてしまう生き物のため、たとえ幸福感を感じてもそれは一時的で、すぐに一定の幸福度に戻ってしまう。幸福感を延々と感じていたら何もしなくなってしまうため、幸福度は下がるようにプログラミングされている。

問「本当にロジカルシンキングで問題解決するのか?」
:ロジカルシンキングは原因を探るには有効だが、問題解決にはあまり向いていない。特に人間の心理が絡むものには不向き(大抵の問題には人間が絡む)。なぜなら、人の「好/嫌」や「快/不快」はロジカルではないから。

問「なぜ、給食はご飯が出る時も牛乳が出てくるのか?」
:給食に毎回牛乳が出るのは、法律(学校給食法)でそう決められているから。逆説的に言えば、牛乳がなければ「給食」として認められない。

このように、常識を疑ってみた結果、常識が間違っていると気づきます。

クリティカルライティング

常識に疑いの目を向けて、常識を壊していく。一連の流れ(クリティカルシンキング)を伝えるライティング術があります。クリティカルライティングです。

構成は以下です。

常識を挙げる
常識を否定or疑う(きっかけ)
主張or仮説を述べる
理由や根拠、事例を提示する
結論

はじめに、あなたと世間が共有している常識を挙げます。常識だと強く信じられているものほど、壊したときのインパクトは大きくなります。

次に、常識を否定、もしくは疑問を投げかけます。否定、疑問に至った「きっかけ」があれば書いてください。読者から共感が得られます。

続いて、主張や仮説を述べます。

さらに、主張や仮説が正しいとする理由や根拠、事例を提示します。

最後は、結論を述べて締めます。

ざっくり言えば以上の流れです。

例文を用意しました。

例文

人は幸せになることが生きる目的なのか?

「人は幸せになるために生まれてきた」
この言葉を否定する人は、そういないだろう。

だが私は、この言説に疑問を持つようになった。曖昧な概念である「幸せ」が努力や考え方一つで本当に手に入るのかと。

そう思うようになったきっかけは、私の友人(女性)にある。彼女は、幸せになるために日々努力していた。スピリチュアル本を読んだり、慈善活動をしたり、芸術の趣味を持ったりと精力的だ。しかし未だ幸せな人生には至っていないとこぼす。

人間的にも、状況的にも、彼女は私よりも持てる者だと思うのだが、もっと幸せになりたいらしい。彼女に限らず、十分な収入を得ている人でさえ、「もっともっと」とさらに上を目指そうとする。一生遊べるお金がある資産家がさらに資産を増やそうと励むのもそうだ。お金だけではない。地位や名誉も人は尽きることなく求め続ける。私はこうした様を見て、「なぜもっと欲しがるのだろう」と疑問を持つようになった。

もしかしたら人には「十分」がないのかもしれない。
どんなに幸せが手に入ろうが際限なく求め続けるのではないか。そこで私は、人はなぜ幸せを求め続けるのか、そしてなぜ手に入らないのかを知りたくなった。

そんな時、一冊の本に出合った。
『幸福の意外な正体  なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』(著 ダニエル ネトル)。

本書によると、人類は進歩するために幸せを求めるようプログラムされていて、長期的に幸福感を覚えないようになっていると言う。(本書では「幸福追求の体内プログラム」と呼ぶ)。

「もっともっと」と欲するからこそ人類は、科学や文明を発展させ、生活を豊かにしてきた。もし幸福感を長期的に得てしまえば、人類の進歩(成長)は止まってしまい、さまざまな発展はなかったのだ。

つまり人類は、物質的、金銭的、人間関係がどんなに恵まれようとも、必ず枯渇感を覚えるようプログラムされている。そのため「完璧な幸福」は得られない。というよりも「完璧な幸福」なんてものは存在しないのだ。

人類に備わったプログラムだと受け入れたなら、蜃気楼を追い続けるような生き方をせずに済むだろう。素直にプログラムに従って上を目指して生きていくのが自然だ。幸福ではなく、進歩(成長)を目指す。未来を今よりも良くするために。

結論としては、「人は幸せになれない。そうプログラムされているから。であれば、プログラム通りに成長(進歩)を意識して生きたらどうか」といったものです。「人は幸せになるために生きている」という常識へ疑問を向け、新しい事実(真実)を提示する形になっています。

新常識ライティング

紹介したクリティカルライティングは、常識に疑問を持ち、真実を得るまでの思索過程が見られます。それとは別に、「実は、あなたの常識は間違っている。真実はこうです」と、結論を先に述べる書き方もあります。「新常識ライティング」です。

構成は「起“転”承結」です。
※「起承転結」ではありません。

「起」お客が信じている常識を挙げる
「転」常識が間違っている旨と真実を伝える
「承」理由や根拠、事例を提示する
「結」真実が正しいとまとめる

もし迷ったら、以下の太字のワードを使えば書きやすくなります(必ずしも使う必要はありません)。

「起」「~~だと思っていませんか?」と常識を挙げる
「転」「しかし」で常識を否定し、「実は……」と真実を伝える
「承」「事実(実際)」or「なぜなら」で理由や根拠、事例を提示する
「結」「よって、◯◯(真実)が正しい」と締める

先に紹介したクリティカルライティングとの違いは、主張や仮説ではなく、「真実」を伝える点にあります。そのため、根拠がしっかりとしていなくてはいけません。

また、「起転承結」の最後に「誘」を加えれば、セールスライティングにも使えます。
「誘」でLPへのリンクを貼ってもいいですし、そのままセールスライティングに入っても構いません。

例文を2つ紹介します。

例文1

高カロリーな脂質はダイエットの敵だと思っていませんか?
しかし、それは間違いです。

実は脂質を積極的に摂らなくては、ダイエットは成功しないのです。
なぜなら、充分な脂質を摂ると「脂肪を蓄えなくてもいい」と身体が判断し、身体の脂質を燃やし始めるからです。

よって、脂質はダイエットの強い味方です。

そんな脂質を中心としたダイエット法「◯◯」があります。
リンク:https://www.aaaaaaa.jp/aaaaa

例文2

あなたは、CVRの高いLPが一つあれば十分だと考えていませんか? しかし、それは間違いです。実は、複数のLPを用意するほど売上は高くなるのです。

事実、ランディングページを10~15種類用意している企業は、10種類未満の企業と比べて、コンバージョン率が55%アップ、40種類を超える企業で500%アップしているといった調査結果が出ています(データ元は、7000社以上の企業からベンチマークデータをまとめたHubspotより)。

ではなぜ、LPを複数持っていたらCVRは向上するのでしょうか?
その理由は、一つの広告に対して一つのLPを当てることで適応度が高くなるからです。

広告の種類や広告の表現によって、ユーザー属性やニーズは異なります。そうした違いを無視して作られたLPで運用すると、効果は低くなってしまいます。

よって、LPは複数作るのが正解なのです。

「でも、複数のLPを作る時間なんてないよ」
そう思ったでしょう。

そんなあなたにご提案したい商品があります。
それはAAAツールです。

このツールは、LPのパーツさえ用意すれば、自動的に何パターンも生成してくれるんです。それだけではなく、自動的にABテストも行い、各広告に適したLPまで作ってくれます。

想像してみてください。
リスティング広告の各キーワードに適したLPが自動的に生成される、リターゲティングの各ターゲットに適したLPが自動的に生成される、Facebook広告の各広告文に適したLPが自動的に生成される。すべての広告のCVRが向上するのです。

たった一つのツールが、セールスコピーライターを10名以上も雇ったのと同じ働きをしてくれます。それも、社員を雇うことによる固定費は一切かからずにです。

導入した企業の98.7%はCVRを高めました。
導入から10日ほどでCVRが1.5%から4.25%に向上した企業や、100を超える広告すべてのCVRを高めた企業もあります。

では、AAAツールを導入された企業の声をお聞きください。

クリティカルライティングは、分かりやすく考えを伝えることができます。一方、新常識ライティングは、真実が冒頭に来るためインパクトが強いです。何かを売り込む際にも使えます。

どちらにしろ、常識を否定する点は変わりありません。どちらのほうが伝えたい内容に適しているか、書きやすいかを考えて判断してください。

まとめ

クリティカルシンキングと相性のよいライティング術を2つお伝えしました。インパクトの強い記事が書けるため、知っておいて損はありません。ぜひ、ご活用ください。

以下、参考文献

『20歳の自分に受けさせたい文章講座』(著 古賀 史健)
『幸福の意外な正体  なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』(著 ダニエル ネトル)

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深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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