セールスライティングに使えるストーリー3つの型&事例

「ストーリーを使ったセールスコピーを書こう!」
しかし、いざ書き始めてみると、

  • ストーリーをどう書けばいいのか分からない
  • ストーリーを入れるタイミングが分からない
  • どこまで細かく描写していいのか分からない

と悩み、筆が止まってしまったかもしれませんね。
そんなあなたのために記事を書きました。

本記事では、「なぜストーリーは有効なのか」といった本質と方法論について解説しています。一読していただければ、本質を理解したうえで、売上に直結するストーリーが書けるようになるはずです。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

なぜストーリーは有効なのか

具体的なストーリーの書き方をお伝えする前に、「なぜストーリーは有効なのか」について解説します。ここを理解しているかいないかによって、ストーリーへの理解度が変わってきます。

ストーリーは、感情を動かす

ストーリーの有効性を一言で言えば、「感情に訴えることができる」です。
論理的な説明は、理性に訴えるだけで感情にはなかなか響きません。一方、ストーリーは感情に訴えることができます。

このことを象徴する有名な実験があります。飢餓撲滅の寄付活動です。
一方には飢餓に苦しむ人数(統計)を見せ、もう一方には飢餓に苦しむ一人の子どもを紹介しました。結果は、後者のほうが2倍以上も寄付金が集まったのです。

ストーリーが民衆を動かした例はほかにもあります。「アラブの春」もその一つです。一人の青年が当局の取り締まりに抗議して、焼身自殺を図りました。この出来事がSNSを通じて国内外に知れ渡り、大規模な民主化デモへと発展したのです。そして、23年間続いた独裁政権は崩壊しました。

さらにもう一つ、ストーリーが民衆を動かした例をご紹介しましょう。ヨーロッパにおける「難民受け入れ」です。
ヨーロッパで難民受け入れに対して意見が割れていた頃、ある出来事が世論を大きく動かしました。トルコのビーチに横たわるシリア少年の遺体です。彼の姿はメディアで大きく報じられ、ヨーロッパ各国に衝撃を与えました。難民の受け入れに世論は傾き、難色を示していた国ですら、難民を受け入れる方向へ舵を切ったのです。

このようにストーリーには、人の感情を動かし、行動を起こさせる力があります。

感情を動かせられれば、後は勝手に自己説得してくれる

古代ギリシャの哲学者アリストテレスも、「ロゴス(論理)」が理路整然としていようが、「エスト(信頼)」と「パトス(感情)」がなければ、人は説得できないと説いています。

人は信じたいものを信じるようにできています。感情的な決定が先にあり、論理的な理由(根拠)は後なのです。自分が下した決断に対して、自分自身と周りの人を説得するために論理を用いているだけです。決して、論理的な根拠があって意見や行動を決めているわけではありません。

このことから、商品を売るための核心部分が見えてきます。
それは、ものを売るには「欲しい(買いたい)」と先に思わせること。科学的な根拠などの説得材料はその後でいいのです。「欲しい(買いたい)」と思わせられれば、後はこちらが出す情報(論理・根拠)を自ら「自己説得材料(確証バイアス)」にしてくれます。

そして、「欲しい(欲しい)」と思わせる有効な手段がストーリーなのです。
関連記事:詭弁術に学ぶ、人を動かすセールスライティング

先祖が火を囲んで話していたのはストーリー

狩猟採集民族のストーリーテラーは、物資に恵まれ、伴侶を獲得する機会が多いことも分かっています。これは社会的地位が高いことを示しています。文明社会でも同じです。作家、映画製作者、俳優などは社会的地位が高いですよね。人類はそれだけストーリーに価値を置いているのです。

「我々の先祖は火を囲んでストーリーを話していた」と社会人類学者は考えています。きっと「今日どんな狩りをしたのか」といった話を仲間としていたのでしょう。その子孫である我々も、ストーリー仕立てにして、身に起きた出来事を話します。「今日、こんなことがあったんだけど……」と。あなたもそうではありませんか。

人類は、社会性を育むように進化して来ました。一個体では弱いため、情報交換や助け合いをして命を守ってきました。特に、どこが危険、何が危ないといった情報共有は重要な役割を果たします。その際、共感(感情の共有)したほうが学習効果は高まり、生存率も上がります。

たとえば、猛獣に食べられそうになった経験を聞き、恐怖心に共感できた者は猛獣を警戒するようになります。当然、餌になる確率は下がります。一方、共感しなかった者は、猛獣の餌となり遺伝子を残せなかったに違いありません。大丈夫。我々は前者の遺伝子を色濃く引き継いでいます。その証拠に、映画『ジョーンズ』が公開されてからは、必要以上に「サメは恐ろしい」と世界中が認識するようになりました。

このように我々人類は、ストーリーを通じて、共感や感動を覚え、そして学習してきました。そして今でも、ストーリーを本能レベルで求めています。事実、毎年出版される書籍の中で、販売部数トップを誇るのは小説です。また、映画やドラマ、アニメが見られる動画配信サイトも人気です。あなたもいくつか会員登録しているのではないでしょうか。

そう、それだけ人類はストーリーが好きなのです。あなたも私も、そしてほかの人も。人類はストーリーなくして生きてはいけません。

魅力的なストーリーは、脳内化学物質を放出させる

映画を見て感動した経験、あなたにもあるはず。
興奮したり、悲しんだり、喜んだりするのですから、さまざまな脳内ホルモンが分泌されていても不思議ではありません。

科学的には、ドーパミン(快楽ホルモン)、オキシトシン(幸せホルモン)、コルチゾール(興奮ホルモン)などが分泌されることが分かっています。論理的な説明や統計データでは、これだけの脳内物質が分泌されることはないでしょう。ストーリーだからこそなせる技です。

感情に直接訴えるため、ストーリーには着想や意見を植え付ける効果があることも分かっています。戦時中に行われるプロパガンダがまさにそうです。

有名な一例が、「ナイラの証言」です。
クウェートの子どもたちがイラク兵に虐殺されていると、少女ナイラ(15歳)は涙を流しながら証言をしました。これをきっかけにアメリカの世論は軍事介入に傾き、実際に軍事介入へと進みます。後に、少女ナイラの証言は「やらせ」だと発覚しますが、後の祭りです。

このように、さまざまな分野や研究において、理性よりも感情に訴えたほうが人を動かすことが分かっています。そして、感情に訴える説得は、過去に幾度もなく利用されてきました。

ストーリーにはパターンがある

11万2千本のフィクションのあらすじを統計分析した結果、「事態が悪化の一途をたどった末に好転する」パターンが最も多いことが分かっています。つまり、V字型、W字型のサクセスストーリーです。

映画を観ていて、「構成(シナリオ)が同じだな」と気づいた方もいるでしょう。「当たる」と言われているV字型、W字型のストーリーをなぞっているからです。『神話の法則』という有名なストーリー構成がありますが、これもW字型です。こうした法則に則って映画を作っているため、構成がどうしても似通ってくるのです。

もちろん、あえてパターンを壊しに来る監督や作家もいるでしょう。しかしそれは一種の博打です。何万もの作品によって見出された法則をわざわざ手放すのですから。セールスライティングに使うなら、余計なチャレンジはせず、お約束のパターン通りに作るのが吉です。

それともう一つ、お約束を守るメリットがあります。シンプルで予測がつくストーリーほど脳の負担が少なくて済むことです。負担が少ない分、ダイレクトに感情に訴えられます。

あなたは、作品を作るためのストーリーの書き方を知りたいわけではないはずです。商品を売るためのストーリーの書き方を知りたいのではないでしょうか。そうであれば、脳に負担をかけてはいけません。お約束通りのストーリーを作るのが正解です。

ストーリーは理解しやすく、表現が無限大

馴染みのない情報を分かりやすく伝える有効な手段がストーリーです。知識ゼロの人に理解させるのに役立ちます。たとえば「認知的不協和」について説明するなら、理屈を語るよりも、イソップ寓話『すっぱいぶどう』を読ませたほうが理解してもらえます。

ストーリーの長所は、表現が無限大にある点です。同じV字型、W字型のストーリーだとしても、何十、何百万といった数の作品があります。意図して真似をしない限り、表現レベルが重なることはありません。ビジネスにおいて、これは大きな長所になると思いませんか?

商品の機能やメリットは、競合と重なりやすいです。メリットの先にあるベネフィットも重なりやすいです。そのため差別化が難しくなります。ですが、ストーリーは違います。表現が無限大にあるわけですから、差別化も無限大です。

さらに言えば、ストーリーはブランディングにも寄与します。
日本ではまだ馴染みはありませんが、アメリカでは「ブランドストーリーテリング」という言葉(概念)はメジャーです。「Apple」「Coca-Cola」「Airbnb」「Nike」「Patagonia」「Dove」など、その成功事例としてよく取り上げられています。

ストーリーがもたらす恩恵は、想像以上に大きいのです。

売れるストーリーには欠かせない、ストーリー要素と主人公要素

人を動かすストーリーを書くには、守らなくてはいけない要素があります。
具体的な書き方を知る前に、まずは要素を理解しておきましょう。

ストーリー要素

ストーリーは変化を描く

ストーリーの面白みは「変化」にあります。
ジャンプ漫画は主人公の成長を描きますが、この成長も「変化」の一つです。

では、変化とは何か。
それは、「ビフォー・アフター」です。それもギャップのある。

ストーリーでは、以下の3つの変化(ビフォー・アフター)を描きます。

1.状況
例「肌がシミだらけ」→「今ではシミが一切ない」

2.認知
例「自分の肌が嫌いだった」→「今では自分の肌が好き」

3.周囲
例「周りは私に気を遣って肌の話題は出さない」→「肌が綺麗だと褒めてくれる」

問題が解決した後、自分の状況、認知、そして周囲がどう変わったのかを伝えます。この変化こそがストーリーの肝であり、商品の「魅力」となります。

台詞が一切出てこないAmazonのCMも「変化」を上手に描いています。

ストーリー構成

ストーリーは、3幕構成になります。
構成の表現はいくつもありますので、私が知るものをすべて載せておきます。

1.出立、離別
2.試練、通過儀礼
3.帰還

1.関心をつかむ
2.緊迫感と期待感
3.満足

1.日常
2.爆発
3.新たな日常

1.発端
2.中盤
3.結末

1.状況設定
2.葛藤・対立
3.解決

何となく各構成の役割やイメージが見えてきましたか?
これを、セールスライティングに使えるように落とし込んだのが次です。

セールスライティング用の3幕構成

1.問題(日常の崩壊)
問題が起きる前の状況や人物像
問題が起きたときの具体的な描写
問題を抱えたときの状況や気持ち、周りの評価
問題が与えた生活への影響
※すでに問題を抱えている状態からスタートさせる場合は、具体的な悩みや気持ち、周りからの評価を語る。

2.出合い(旅立ちと期待)
問題を解決する手段(商品)との出合い
手段は問題をどう解決し、生活をどう変えるのか。
手段を手に入れる際の葛藤やブレーキ
手段を手にしようと決断した理由

3.解決(新たな日常)
どのように問題が解決したのか。
状況をはじめ、気持ちや周囲がどう変化したのか。

本能を刺激するストーリーは、人を魅了する

健康:病気、美容、ダイエット、コンプレックス
お金:仕事、キャリア、投資、資産、ギャンブル
人間関係:SEX、恋愛、結婚、離婚、上司部下

上記に関わるニーズや願望は根が深いため、これらに焦点を当てたストーリーは人の関心を集めやすいです。自伝本や体験記は、このいずれかで成功をつかんだ人でなければ売れません。セールスライティングも同様に、上記4つの欲求に根ざしたものほど売りやすいです。

ストーリーに関する写真を一枚添えるだけでリアリティが増す

ストーリーを語る際は、ストーリーに沿った写真を用意してください。一気にリアリティが増し、強い共感を得られます。

私たちは、小説のようなフィクションを書いているわけではありません。実際にあったストーリーを書いているのですから、真実を映す写真は最大の友です。

主人公の要素

主人公の造形を決める

商業作品では、主人公の造形は4つあるとされています。

1.英雄
2.普通
3.負け犬
4.罪深き者

「1(英雄)」と「4(罪深き者)」は、商業作品に使うのはよいかもしれませんが、セールスライティング向きではありません。セールスライティングに使うなら、「2(普通)」か「3(負け犬)」です。この2つは、読者から共感や親近感を抱かれやすいです。

芸能人を起用できる場合は、「1(英雄)」が使えます。

主人公の人物像を描く

「2(普通)」と「3(負け犬)」のどちらかを選んだら、主人公の人物像が分かるようにします。

やり方は5つあります。

1.写真
顔写真をはじめ、性格がよく表れている写真があれば載せるようにしましょう。手っ取り早く人物像を伝えられます。セールスライティングは小説ではないため、一から十までを言葉だけで表現する必要はありません。使える写真があれば使いましょう。

2.出身地、年齢、性別、趣味、小道具
出身地や年齢は、人物像を表現する重要な手がかりです。沖縄育ちと東京育ちでは、受ける印象が違います。20歳と40歳では、受けてきた教育や育ってきた環境が違います。性別も同様です。

職業や趣味も人物像を色濃く反映します。
たとえば、職業が弁護士と大工、趣味が鉄道写真とBBQでは、受ける印象が違いますよね。ステレオタイプによるものだと思いますが、人物像に影響を与えるのは確かです。

小道具とは、身に着けているものや所有しているものです。たとえば、時計や万年筆です。ロレックスを着けていたり、モンブランの万年筆を使っていたりすれば、何となく人物像(人柄や性格)が見えてきませんか。小説でも、登場人物が身に付けている小道具の銘柄を伝えることがありますが、同じ理由です。

3.対比(他者、内面、環境
何かと比べてはじめて人は、そのものの存在の程度を測ることができます。
主人公の置かれている状況や個性を浮かび上がらせる際にも使えます。

たとえば、
他者との対比なら、「友達が遊んでいる間、私はバイトをしている」
内面との対比なら、「彼と飲むお酒が以前ほど美味しく感じられなくなった」
環境との対比なら、「4LDKから引っ越した先は1Kのアパートだった」

このように比べることで、主人公の状況や心情が見えてきます。

4.台詞・行動
とある出来事に直面した後、どのような言葉を漏らすのか。どのような行動を取るのか。そこに主人公の個性が表れます。
たとえば、好きだった女性に告白して、「ごめんなさい。付き合えません」とフラれたとします。その直後、「そうだよね。なんかごめんね」と言うのか。それとも「俺よりもいい男がいるのか?」と聞くのか。それぞれ、受ける性格の印象は全く異なります。

またフラれた後に、その女性をひっそりと見守るのか。嫌いになるのか。好きでもない女の子と付き合うのか。すぐに違う子を好きになるのか。風俗に通うのか。当分立ち直れないのか。こうした行動一つで、どんな性格の持ち主なのか、また女性をどう思っているのかも見えてきます。

5.ニーズ(目標)
映画や小説でも、主人公は何かしらの必要性やニーズに駆り立てられて旅に出ます。ビジネスの場合も、何らかのニーズがあるからこそ、お客は商品を購入していきます。

セールスライティングでストーリーを使いたいときは、ターゲット客と同じニーズを主人公に持たせてください。ターゲット客は自分ごとのように共感し、ストーリーを読み進めてくれます。

理由(動機)を描く

主人公への共感を得るには、「理由(動機)」が必要です。それも、「それだけの理由があれば、そのニーズ(目標)を持つよね」と思われるものでなくてはいけません。

たとえば、「体重計に乗ったら、1ヶ月前に比べて1kg増えていた。その日を境に、私はダイエットを始めた」
これは、ダイエットを始める十分な理由になるでしょうか。少し微妙ですね。

では、「好きだった男子に告白したら、デブには興味がないと言われた。その日を境に、私はダイエットを始めた」ならどうでしょうか。こちらのほうが十分な理由に感じられます。

特に強い共感が得られる理由(動機)に「バックストーリー(幼少期の原体験)」があります。
仮に、「貧困家庭の子どもを助けるために、私はNPOを立ち上げた」という人がいたとしましょう。「自分も貧乏な家庭に育った」といったバックストーリーがあれば、「ああ、だからか」と読者はすんなり納得してくれます。

さらに人は、バックストーリーと行動に共通性があると、そこに運命を見出します。「自分があの境遇にいたのは、この使命をまっとうするためだったんだ」と。

何かをしようと思ったきっかけに、幼少期の体験が絡んでいることは珍しくありません。あなた自身、なぜ今の仕事を始めようと思ったのか、紐解いてみるのもいいでしょう。

主人公の本気度合いは、支払う代償で表現する

主人公がどれだけ強く欲求(目標)を叶えようとしているのか。それを表現できれば読者から強い共感が得られます。思いの強さを表現する方法の一つが「代償」です。

1.始めるのに何を手放したか
(例)目標を叶えるため、年収1,000万円の仕事を辞めた。
(例)夢を実現させるため、友人との交流を全て断ち切った。

2.失敗したときに何を失うか
(例)1億円を借りた。失敗したら首を吊るつもりだ。
(例)もし失敗したら、車を買ってやると友人と約束した。

「代償」を提示できれば、主人公の覚悟が伝わります。代償の大きさに伴い、読者もストーリーにぐっと引き込まれます。

セールスライティングに使える、3つのストーリー

ここからは、具体的なストーリーの書き方について解説していきます。
セールスライティングに使えるものを3つ用意しました。

1.語り部ストーリー(V字型)
2.ユーザーストーリー(V字型)
3.商品開発ストーリー(W字型)

セールスレターやLPを作るうえで、この3つ以外を使うことはまずありません。

では、一つずつ解説していきます。

語り部ストーリー

語り部ストーリーは、主人公(お客)のストーリーを語ります。
そのときに大切なのは、主人公(お客)の人物像をどれだけ描けるかです。読者がどれだけ主人公に共感できるかが、勝負の鍵となります。

語り部ストーリーは、3幕構成です。V字型ストーリーが好ましいです。

  • 問題(日常の崩壊)
  • 出合い(旅立ちと期待)
  • 解決(新たな日常)

基本的には、先述したセールスライティイングの3幕構成と同じです。

例文を用意しました。

例文:パターンA(売り手目線でお客のストーリーを語る)

婚活で失敗続きの38歳女性が
手に入れた幸せとは……

Aさんが弊社にお越しになったのは、約束の時間から10分過ぎた頃でした。
事前にいただいた情報によれば、年齢は38歳、趣味は旅行。昨年まで旅行代理店の事務をしていたが、今は家事手伝いをしているとのこと。

年齢には似合わない柄のワンピースにブランドバッグ。どこかアンバランスさを感じたのが私の第一印象でした。簡単な挨拶を交わした後、彼女はきっぱりと私に言いました。「私、年収800万円以下の男性とは結婚する気はありませんから」。「年収800万円が絶対条件ですね。ほかに何かありますか?」と、唐突に始まった条件話を相談シートに記入しながら聞きました。「ん~~、年齢は私の±5歳、身長が170センチあれば。あと、実家暮らしは嫌ですよ。それだけ守って貰えれば十分です」

彼女の言う条件に合う男性がいるかを照会している間、彼女はここへ来るまでの経緯を話し始めました。「出会い系アプリも、ほかの結婚相談所もダメ。アプリはヤリモクが多いし、ほかの結婚相談所は私の条件を伝えると無理だと言うし……。ここなら大丈夫って聞いて。本当に条件に合う人っていますか?」

「該当者が3人いますね」
「でもそれって20代希望とかじゃないですか?」
「いいえ。もちろん20代も入りますが、Aさんの年齢も対象内です」
「本当ですか!」

「ええ。では、2週間後に会えるようセッティングしましょうか?」
「はい、お願いします」

「ただし、お会いする前に2週間、私の指導を受けてください。こういった好条件の男性を落とすには、話し方や立ち振る舞いが大切になります。いいですか?」
「はい。分かりました。いくらでもお支払いします。私もう惨めな気持ちで友人の結婚式に行くのが嫌なんです。いい男を捕まえて、誰よりも豪華な式を挙げたいんです」

こうして彼女は、私の指導を受けることになりました。

3ヶ月後、彼女から一通の手紙が届きました。
きれいな字で書かれた手紙には、3人のうちの1人と婚約が決まったことへのお礼でした。条件に見合う男性を見つけてくれたこと。そして何より指導によって男性心理が理解でき、それが決め手になったこと。

彼女は今、彼と相談しながら、親交の深い人のみ呼んだ和婚を考えているそうです。そこに私も招待したいとありました。もちろん行きますとも。

手紙の最後には追伸が添えられていました。「先生に会うなり、年収を条件に挙げたことは忘れてくださいね。今思うと恥ずかしいです」。婚活を通じて手に入れたのは、新しい生活だけではなかったようですね。


なぜ彼女は、期待どおりの男性と結婚できたのか。
ここが弊社がほかの婚活会社と一線を画すところです。

(ここからベネフィットや商品特徴の話に入ります)

例文:パターンB(お客のストーリーを代弁する)

婚活で失敗続きの38歳女性が
手に入れた幸せとは……

今年で38歳になるAさんは焦っていた。友人たちは次々と結婚していき、自分だけが取り残されていく。35歳を過ぎたあたりから、結婚式の招待状を受け取るのも、出席するのも苦痛になっていた。

20歳を越えてから付き合った男性は5人いる。もっといい男性と巡り会えるはずと信じて、どの男性とも結婚をしなかった。今さら妥協する気はない。ここで妥協したら、何のために別れてきたのか分からなくなる。妥協婚なんてしたものなら、都内マンションに住む友人からバカにされるに決まっている。友人の誰よりも年収の高い男と結婚しようと心に決めていた。

退路を断つために仕事を辞めた。少しでも若く見えるよう20代が好んで着る服を着た。年収の低い男を避けるためにブランド品を持つようにもした。

しかし、その努力は実らなかった。
婚活アプリに登録しても、釣れるのは下心のある男ばかり。中には妻子持ちまで紛れ込んでいた。このままでは時間を浪費してしまう。そこでAさんは、結婚相談所に相談することにした。

だが、ここでも望み通りにはいかなかった。希望年収を伝えると、「希望年収の男性はいますが、男性側は20代を希望しています」と言われる。3社に相談したが、どこも同じだった。

アラフォーの自分では、希望通りの結婚は無理なのか。半ば諦めかけた時、たまたま図書館で読んだタウン情報誌に載っていた結婚相談所S社の広告が目に留まった。「あなたをステージアップさせて、希望通りの男性と巡り合わせます」

成婚率ばかりうたう婚活広告とは違い、何だか上から目線な広告。「ステージアップ」。失敗続きだったAさんにとって、この言葉は響いた。電話番号を登録して、すぐに電話をかけた。翌日の昼過ぎにS社の担当者と会うことになった。

相談日、Aさんは男性に会う時と同じファッションで出向くことにした。そのほうが自分という人間を知ってもらえると思ったからだ。

本当に自分の希望が叶えられるのか。担当者との挨拶を終えたら、Aさんはすぐに伝えた。「年収800万円以上」と。

担当の女性は涼しい顔をしながら、「ほかにもありますか?」と尋ねてきた。今までの結婚相談所の人間は、「年収800万」と伝えると、一瞬間を置くか露骨に怪訝そうな顔をした。きっと「38歳の女が何言っている」と引いていたんだと思う。

Aさんは思いついた他の条件をいくつか伝えた。照会の時間を挟んだ後、「該当者が3名いますね」と担当者は言った。まだ迂闊には喜べない。ほかの婚活事業者と同様に、男性側は20代希望なんだろうと予想し、恐る恐る聞いてみる。すると異聞の年齢も対象内だと言う。思わず声が上ずった。

「ただし」と、男性と会うまでの間、指導を受けることが条件だと聞かされた。これがきっと広告にあったステージアップのことなのだろう。覚悟はできている。Aさんは、二つ返事で了解をした。

男性と会うまでの2週間、Aさんはさまざまな指導を受けた。

その後、相談所S社に紹介された男性と会った。3人のうち2人からは断られたが、1人とは結婚まで話が進んだ。今、Aさんは結婚式に向けての準備で忙しくしている。

結婚が決まってからは、友達を見返してやろうという考えがバカバカしくなり、近しい人だけで執り行う和婚を選ぶことにした。心変わりしたのはそれだけじゃない。結婚相手とは「条件」で出会ったが、今その条件を満たしていなかったとしても、彼と結婚したいと思うようになっていた。


無事に成婚できたAさん。
Aさんが望む結婚をするために弊社は何をしたのか。これからお教えします。
(ここからベネフィットや商品特徴の話に入ります)

AパターンとBパターンの違いが分かりましたか?

Aパターンは、売り手目線。
Bパターンは、お客の代弁。
目線は違っても、売り手はメンター、お客は主人公の立ち位置は同じです。また、2つとも3幕構成です。

前半では、主人公(お客)の人物像やニーズを明確にしているのがお分かりでしょうか? キャラクターの造形としては、「負け犬」です。

ちなみに前半では、差別化(優位性)を伝える小技を一つ使っています。「競合のサービスも受けたけど望みが叶わず、指導があるS社に来た」という流れにしているのがそれです。「競合サービスと迷ったけど、◯◯が決め手になってS社を選んだ」という流れでも構いません。競合との比較があることで、差を伝えることができます。

中盤では、サービスの説明に軽く触れています。ここでは、商品・サービスの説明は深掘りしません。ストーリーが終わった後に詳しく説明するからです。それに、語り部ストーリーの主役はあくまでもお客であり、商品やサービスではありません。ここで商品について詳しく話してしまうと、一気に白けてしまいます。

後半では、変化にフォーカスしています。「豪華な式を挙げたい」と言っていた彼女がささやかな和婚を選んでいること。年収を条件に挙げたことへの恥じらいを持つようになったこと。心境の変化を表現しています。

冒頭部分に載せる

『PASONAの法則』『新PASONAの法則』『PASBECONAの法則』なら、PからAにかけてです。キャッチコピー(ファーストビュー)の後に差し込む感じです。
関連記事:【完全網羅】セールスライティング7つの型(テンプレート)

悩みが深く、共感できるもの

V字型のサクセスストーリー全般に言えることですが、ドン底からの成功にどれだけギャップがあるかが重要です。ギャップを作るコツは、ドン底にあります。問題や悩みが深刻であればあるほど、平凡な成功でもギャップが大きくなります。

語り部ストーリーは、ブログ記事でも使える

語り部ストーリーは、ブログ記事としても使えます。ブログで紹介してLPへと誘導すれば、LPの成約率も上がります。記事LP制作を専門にしている人の中には、ストーリーを用いて書いている人もいるぐらいです。

えっ、まだ書き方がよく分からないって?

今までの話を聞いてもまだ「どういった目線で書いていいのか分からない」と悩んでいるあなた。最後にイメージしやすい状況をお伝えしましょう。

あなたはセールスマンです。今喫茶店で見込み客と商談をしています。見込み客はある悩みを抱え、あなたの商品を購入しようか迷っています。その時あなたは、見込み客と同じ悩みを抱え、今は商品によって悩みが解消されたAさんを思い出しました。そして、あなたはこう切り出します。

「実は半年前、あなたと同じ悩みを抱えていた方がいました。その方の話をさせていただいてもよろしいでしょうか?(はい) その方は……」と。

この状況を思い浮かべて出てきたストーリーが、語り部ストーリーです。

ユーザーストーリー

語り部ストーリーとは違い、お客自身がストーリーを語っている形です。
信憑性という意味では、語り部ストーリーを上回ります。

ユーザーストーリーも3幕構成です。これもV字型ストーリーが好ましいです。

  • 問題(日常の崩壊)
  • 出合い(旅立ちと期待)
  • 解決(新たな日常)

「レビューとどう違うの?」と思われるかもしれませんが、本質的にはレビューです。ただし、高度にストーリー性の高いレビューだと思ってください。

実際は、お客が自ら書くというよりも「売り手が話を聞いてストーリーを書き、お客の了解を得る」という形になるでしょう。

長文になっても構わない(いやむしろそれが良い)

あなたはECサイトで長文のレビューを見つけたら、興味をそそられないでしょうか?
「こんなに熱量を持って何を書いているんだろう」と。

レビューを書くこと自体、一定の熱量が必要です。それが長文となれば相当な熱量です。レビューを見る人もそれを分かっているため、長いものほど読まれます。

わざと冗長にする必要はありませんが、ストーリー性のあるレビューを書けば、必然的に500字は越えると思います。ほかのレビューとは一線を画すでしょう。

冒頭かレビューに載せる

ユーザーストーリーは、語り部ストーリーと同じ冒頭か、レビューの位置に載せます。冒頭に載せる場合は、選りすぐりのストーリーを一つ。ストーリーが複数ある場合はレビューの位置に載せます。

動画撮影も一緒に

ユーザーストーリーができたら、カメラの前でストーリーを語ってほしいと頼んでみましょう。文字だけだと「創作」という疑いを拭えません。本人に語ってもらうことで信憑性が高まります。

【番外編】売り手のストーリーを語る

売り手が商品を使った経験をストーリーにして伝えるのもありです。
「ポジショントークと思われて、信じてもらえないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、やりようによってはお客のレビューよりも効果があります。

たとえば、ニュースレターなどを通じて人間関係が作られていれば、レビュー(ストーリー)を信じてくれます。ほかにも、あなたの人となりが表れているユニークな文体であれば、売り手のレビューだということも気に留めず読んでくれるでしょう。

では、例文を紹介します。

例文(メールDM用のストーリー)

–メール件名———-

知っていましたか? 顔のシミは、寝る前のケアで決まることを

———————–

顔のシミ、気になり始めていませんか?
そのまま放っておくと、近い将来、濃いシミに変わってしまいます。

肌を若々しく保ち、いつまでも美しくいたい。
そう願う女性は多いはず。

申し遅れました、私はSSSコーポレーションの染見なし子と申します。

今日は、あなたの美肌を保つ化粧品『AAA』をご案内いたしたく、メールを送らせていただきました。

\パラベン・エタノール不使用/
▶ http://AAA/shimisupotto/lp
   /香料不使用\

「でも、整形美容外科に行けば、シミはレーザーできれいにできるんでしょ?」
確かに、美容整形外科に行けば、顔のシミはレーザーできれいに落としてもらえます。

けれど、何度も通わなくてはいけませんし、保険適応外のため、お金もかかります。
加えて、痕が残るリスクもあるのです。

デメリットはまだあります。
薄いシミはレーザーが反応しづらいため、シミが濃くなるまで待たなくてはいけません。

それに、治療した後はガーゼを貼って保護するため、治療したことを周囲に知られてしまいます。

シミが濃くなるまでお肌に残したままでいいですか?
治療を周囲に知られるのは恥ずかしくありませんか?

『AAA』なら、手軽に、誰にも知られず、気になる部分をケアすることができます。
あなたも今日から、『AAA』でシミケアを始めてみませんか?

  \プラセンタ配合/
▶ http://AAA/shimisupotto/lp
  /スクワラン配合\

「シミケア商品はほかにもたくさんあるけど、『AAA』は、ほかの商品とどこが違うの?」

はい、よくぞ聞いてくださいました。
おっしゃるように、シミケア商品は、ほかにもたくさんあります。

『AAA』は、刺激の少ない成分で作っているため、
肌の弱い方でもお使いいただけます。

使い方は簡単です。
夜寝る前に、シミが気になる箇所にシールを貼るだけ。
それだけで美しい肌を保つことができます。

  \コエンザイムQ10配合/
▶ http://AAA/shimisupotto/lp
  /アスタキサンチン配合\

ある使用者さん(女性)の体験談をご紹介します。

彼女は、自分の肌が昔から嫌いでした。
肌が弱くて、市販の化粧品ではすぐに荒れてしまうからです。
なかなか思い通りにスキンケアできずに悩んでいました。

40歳を超えてからは、今度は顔にうっすらとシミが。
紫外線対策もしっかりしていたのに、どうして……。
これが「老い」というものなのかと絶望したそうです。

シミケア商品をいくつか試してみたけれど、やはりどれも刺激が強くて、自分の肌には合いません。

そんな時、たまたま知った『AAA』。
「もうこれでダメなら諦めよう」と決め、手を伸ばしました。
使ってみたら、痛みも腫れもなく、今までにない効果を実感。

そんな彼女は、先日、数年ぶりに同級生と会いました。
すると、「なんでそんなに肌がきれいなの?」と驚かれたのです。
思わず、芸能人ばりに「え~、何もしていないんだけどね」と答えちゃったそうです。

『AAA』に惚れ込んだ彼女。
たくさんの女性に知らせたいと、なんと、弊社の採用試験に臨んだのです。

そして見事採用!!
現在、マーケティング部門で働いています。

もうお気づきかもしれませんが、何を隠そう、その彼女というのは私なのです。
もしあなたが私のように、シミに悩んでいたり、敏感肌だったりするのなら、『AAA』を強くオススメします。

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PS.
今では自分の肌が好きになっています。

このように自分のストーリーを語ることができます。

商品開発ストーリー

商品開発ストーリーは、今までのストーリーとは趣が少し違います。
今までのストーリーはお客が主人公でした。商品開発ストーリーは「あなた(開発者)」が主人公です。一つのミッションを成功させるというサクセスストーリーを描きます。NHK番組『プロジェクトX』の脚本を作るつもりでいてください。

商品開発ストーリーは、起業やプロジェクトのサクセスストーリーとしても使えます。

商品開発ストーリーはV字型ではなく、W字型が好ましいです。3幕構成の第2幕目が長くなる感じです。
第2幕では、試練を2つ設けてください。1度目の試練を乗り越えたと思ったら、2つ目の試練にぶち当たる。2つ目の試練を乗り越えて、晴れて商品が完成するという流れです。

動画になりますが、山田養蜂場が上手くできています。

主人公が父から息子へ引き継がれる形ですが、試練が2回あります。父が娘を亡くす場面と、息子が父と家を失う場面です。これが、W字型ストーリーです。試練が1回ではなく2回あるからこそ、ドラマ性が生まれると思います。

商品開発ストーリーは、ストーリーテリングで有名な『神話の法則』を参考にするのもいいです。

  • 平凡な日常(キャラクターの日常)
  • 非日常への誘い(日常から非日常へのきっかけ)
  • 非日常の拒絶(非日常に対する葛藤)
  • 師との出会い(葛藤を克服し非日常への移行)
  • 事件の発端(非日常の本格的な到来)
  • 試練、仲間、宿敵との出会い(新しい世界での新しい経験)
  • ストーリーの深淵(物語の大テーマ)
  • 最大のチャレンジ(試練の克服)
  • 勝利(勝利の末に得た結果)
  • 帰路(日常の奪還)
  • 復活(進化と再生)
  • 帰路(エンディング)

    ※「神話の法則」は。商業作品のストーリーテリングです。セールスライティングにおいては、すべてを満たす必要はありません。

『神話の法則』も3幕構成です。
第1幕:1~5
第2幕:6~9
第3幕:10~12

商品開発ストーリーは、私も以前作ったことがあります。A5サイズで40ページを超えました。その経験から、商品開発ストーリーは、長編と短編の2つ用意することをオススメします。

長編は、それ一つでWebサイトの1ページ、または冊子にして使います。
短編は、セールスレターやLPに使います。

ここからは、短編を前提にお伝えします。

商品説明に載せる

商品開発ストーリーは、商品説明をする位置に置きます。商品説明が来るのは、大抵はボディコピーの中盤か後半です。商品のメリットやベネフィットを伝えた後に、どんな想いで商品が作られたのかストーリーを通じてを伝えます。

開発の背景には、悪役の存在を置く

商品開発ストーリーに必須の要素は、「なぜその商品を作ろうと思ったのか」です。この理由にどれだけ共感してもらえるかが重要なポイントになります。

ここで大切になるのが「悪役」の存在です。悪役は必ずしも人や組織である必要はありません。環境問題や貧困問題、社会問題といったものから、常識や物質といったものまであります。

悪役は、弱い者いじめをする利己的な存在であり、加虐的で搾取的といった絶対的な悪が好ましいです。こういった悪役に立ち向かう人に、大衆は共感を覚え、応援をします。

ハリウッド映画では、悪役は絶対的な悪として描かれます。日本の漫画や映画のように、「悪役にも実はいろいろあってね」といった情状酌量の余地は描きません。商品開発ストーリーもこれに倣ってください。

「絶対的な悪は、日本だと共感されないのでは?」と思われるかもしれませんね。安心してください。ハリウッド映画は日本でも人気です。それに、あなたが思っているよりも、人は悪役の背景を深く推察しようとはしません。絶対的な悪と思うものを見つけたら、それ以上悪について考えようとはしないものなのです。

たとえば、SNS上で誰かを叩いている人は、相手を絶対的な悪と認識しています。なぜ悪事を働いたのか、自分の知らない背景があるのでは、などと慮(おもんばか)ったりはしません。「分かりやすい悪がいた!やっつけろー」と嬉々として、批判リプを送っているのです。

商業的な例の一つに「無添加」があります。
「無添加化粧品」を好む女性が一定数いますが、彼女らは化学添加物を絶対的な悪として認識しています。ほんの少しでも添加されていたら、その化粧品を買おうとはしません。無添加化粧品を謳う企業も、化学物質を悪として位置づけているからこそ、「無添加」をアピールしているのです。

“文学性の高いストーリー”ではなく、“人を動かすストーリー”を作りたいのなら、絶対的な悪を描くのが正解です。

代償をどれだけ払ったかに覚悟が表れる

商品開発をする際、どれだけリスクを取ったかによって、本気度が伝わります。
「今ある仕事を手放した」「貯金をすべて投入した」「借金をした」「恋人と別れた」「友人らと縁を切った」「親族から縁を切られた」「離婚された」など。

漫画『鋼の錬金術師』の主人公「エドワード・エルリック」と「アルフォンス・エルリック」は、覚悟の表れとして自分の家(帰る所)を燃やします。

「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則 氏は、無農薬栽培を始めてからまともなリンゴが実らず、収入が途絶えるようなりました。この生活が10年間も続きます。一時は自殺をしようとまでしましたが、思い留まり、無農薬栽培を続けました。そして11年後にその努力が実を結ぶのです。

「10年間リンゴができなかった。だが続ける」
生半可な覚悟ではないことが十分に伝わります。

払ってきた代償が大きいほど、成功したときの喜びも大きいです。ストーリーとして伝えれば、多くの人の心をつかみます。

写真はリアリティを高める

商品開発ストーリーにおいて写真は極めて重要です。リアリティが高まるからです。
もし、商品開発に四苦八苦している頃の写真があれば、載せるようにしてください。今が商品開発にチャレンジしている最中であれば、写真を撮るようにしましょう。ストーリーを作るとき必ず役立ちます。

NHK番組『プロジェクトX』『プロフェッショナル 仕事の流儀』などでは、苦労していた頃の写真が必ず映し出されます。これらの番組に限らず、人の功績を紹介するストーリー番組では、必ず写真が使われています。

幼少期の記憶と結び付ける

幼少期の原体験が、主人公の行動動機になっているという表現を商業作品ではよく見かけます。幼少期の記憶と使命との間に結び付きがあると、人は「運命」や「必然性」を感じるものです。

これは私個人の見解ですが、人は子どもの頃にやり残したこと、または子どもの頃に空いた穴を、生涯かけて埋めていくのだと考えています。あなたに「人生をかける」と思えるものがあるのなら、その根は子どもの頃の体験から来ているのかもしれません。

商品開発ストーリーでも、幼少期と結び付けられるといいですね。

【番外編】冒頭に載せられる場合もある

商品開発ストーリーは、商品説明をする位置に載せるとお伝えしました。

しかし例外的に、商品開発ストーリーを冒頭に載せられる場合があります。
それは、「開発者がお客と同じ悩みを抱えていて、それを解決するために商品を作った(商品ができた)」というストーリがあるときです(この場合は、V字型がお勧め)。

情報商材系は、この手が多いです。
「上手く行かずにいたが、あることがきっかけ(気づき)で上手くいった。それをまとめたのがこの教材です」と。

書き出しは、こんな感じです。

~~な悩みを抱えていませんか?
実は私もあなたと同じ悩みを抱えていました。
しかし今は違います。その悩みは解決し、悠々自適に生活をしています。

(悠々自適な生活を見せる)

なぜ、このようになったのか。
それは◯◯を知ったからです。
(ここまでが前フリ)

~~~

[第1幕]
以前の私は、低学歴低収入のキモオタでした。何をやっても失敗ばかり。5年かけて貯めた100万円を元手に事業を始めますが、上手くいきませんでした。貯金も底をつき、絶体絶命です。これが当時の写真です。

[第2幕]
ある時、◯◯に特化したらいいんじゃないのかと気づきました。ダメ元でやってみた結果、次から次へと上手く行きます。

[第3幕]
今では、モデルの彼女を持ち、軽井沢に別荘を持つまでになりました。(写真)
私と同じように悩む人のために、私はこれを商品化することにしました。

と、「あなたと同じでした」というメッセージを伝えて、まずは共感(親近感)を覚えてもらいます。あとはV字型のストーリーに則って書いていきます。

[第1幕]自分がどう失敗続きだったのかを伝える(日常の崩壊)
[第2幕]失敗から抜け出すようになったきっかけを伝える(旅立ちと期待)
[第3幕]成功した姿を見せる(新たな日常)

この後、商品説明やメリット・ベネフィット、レビューなどを紹介し、クロージングコピーへ進みます。

参考までに、2009年に私が書いたストーリーをお見せします。今でも売上を出し続けているコピーです。14年以上、誤字脱字以外は何も直していません。(吹き出しは補足説明です)

例文(売れる文章設計法)

「広告を出したのに全然注文が来ない」
「DMにあんなにお金をかけたのに、反応がない」
あなたはこのように、広告や販促の結果に肩を落とした経験はありませんか?

私も過去に何度も苦い経験をしてきました。
200万円を超える広告に失敗したこともあります。

しかし、今では失敗することは少なくなりました。
なぜなら、売れる文章が書けるようになったからです。売れる文章が書けるようになり、広告や販促の成功率を高められるようになりました。

今回、広告や販促での成功率を高められる、文章法の教材をご紹介させていただきます。

ここまでが前フリです。
この教材の場合は、ここから少し「教育」が入ります。

文章力が売上に大きな影響を与える

広告、販促物は、文字によって行われています。
チラシ、POP、ダイレクトメール、FAXDM、セールスレター、ホームページ、パンフレット、新聞広告、雑誌広告など。文字なしでは商品を売ったり、集客したりすることはできないでしょう。

もし、何も書かれていない広告やチラシをまいても注文の電話は鳴りません。
しかし、お客様の注目を集め、魅了させる文章が書ければ、100万円でも1000万円でも売上を作ることは可能です。事実私は、文章を変えただけで、売上が変わる経験を何度もしています。

売上は文字によって作られていると言っても大げさではありません。同じ広告でも、文章の違いで売上は大きく異なるのです。

テクニックに翻弄される人々

ある日、1通のチラシの添削を依頼されました。
そのチラシには、「警告!○○をまだ使い続けますか?」というキャッチコピーが書かれていました。
「警告」という言葉を使う必要のある商品ではありません。そんなコピーを見るたび、「はぁ~」とため息がでます。依頼者に、なぜ「警告」という言葉を使ったのか尋ねると、「教材にこのコピーは反応が良いと書いてあったから」との答えでした。実は、このように小手先のテクニックだけを学んで、文章を書く人が後を絶ちません。

「コピーライティングを勉強して書いたけれど、一向に売れまない」という相談をしばしば受けます。そういう方の文章を見ると、書籍や教材で教えているような表現やテクニックが使われています。テクニックで文章を書いているうちは、売れる文章は書けません。売れる文章の原則を理解して、初めてテクニックを有効的に活用できるのです。

売れる文章には原則がある

売れる文章には原則があります。
売れる文章の原則とは、お客様の“消費思考プロセス™”に基づいて書かれている、ということです。消費思考プロセス™とは、人間が消費をしたいと思い、消費行動に至るまでの思考プロセスです。この消費思考プロセス™を理解していないと、売れる文章を書くことはできません。お客様の思考を理解せずに、文章を書こうとするからテクニックだけの文章になってしまうのです。

お客様の思考を理解して、初めて、お客様を消費行動へ走らせる文章が書けるようになるのです。

ここから下が商品開発ストーリーになります。

7年間、研究と実践に費やした結果
消費思考プロセス™を発見

私の話を少し聞いてください。
私は、以前父が経営する会社で働いていました。従業員は40名ほどです。会社の売上は、毎年低迷していました。

私は、売上を上げようとセールスマンとして一生懸命働きました。しかし、1人のセールスマンが出せる成果には限界があります。私一人がどんなに頑張ったところで、1日に会えるお客様の数も知れています。

そのとき、1対1のセールス活動ではなく、1対多のセールス活動が必要なことに気づいたのです。

それから、マーケティングとコピーライティングについて猛勉強し始めました。
毎日3時間の勉強。夜中の2時3時に寝るのは当たり前。セミナーCDを聞くためにヘッドホンをしたまま寝る日々が続きました。自己投資した金額は、ゆうに一千万は超えています。

売れる文章の研究を行い、実践をする。このくり返しを7年間続けました。そして、研究と実践をくり返していくうちに気づいたのです。人が消費に至る過程には、思考プロセスがある、と。そこで、消費思考プロセス™に基づいて文書を書くようにしたのです。

結果は、嬉しい悲鳴を何度も聞くようになりました。

消費思考プロセス™を理解すると
売れる文章が書けるようになる

「毎日契約の電話が入ってきます」
「新聞広告で朝から電話が鳴りやみません」
「今日一日で、250件の新規注文がありました」
「100万円の契約が、毎日5件ペースで入ってきます」
「新規の申し込みが毎日50件以上も入るので、伝票の入力が大変です」

DMを送れば、一億円以上の売上。
FAXDMを流せば、1日100件を超える新規申込。
新聞広告を出せば、200件を超える注文。
文章の力により、数百万、数千万、数億という売上を何度も上げてきました。

それは、先ほど話した消費思考プロセス™に基づいた文章を書くようになったからです。
新聞広告、チラシ、パンフレット、ホームページなど、あらゆる場面で消費思考プロセス™を活用しました。すると、レスポンスの反応は高まり、売上が大きくアップしたのです。

私は断言できます。
消費思考プロセス™を理解し、活用することでとレスポンスを高めることができる、と。

あなたが、どんな商品を扱っているかは関係ありません。
どんな商品を扱っていようと、どんな業種だろうと、お客様は人間です。お客様が人間である限り、消費思考プロセス™を通じて消費をします。ですから、原則である消費思考プロセス™を理解すれば、お客様を消費に駆り立てる文章を書くことが可能になるのです。

テクニックではなく、原則を知ってください。

「1人でも多くの人に本物の売れる文章の書き方を知ってほしい」
そんな思いで私は教材を作りました。

消費思考プロセス™とは何なのか。
どのようにすれば消費思考プロセス™に基づく文章が書けるのか、を中心に話をしています。

この教材では、テクニックは一切教えていません。
テクニックではなく、原則をお伝えしています。
テクニックよりも、原則を知るほうが何倍も、何十倍も重要です。原則を理解してしまえば、売れる文章を書き続けられます。

ぜひ、この教材で学んでいただき、本物の売れる文章力を身につけてください。
そして、身に付けた文章力で、あなたの扱う商品を多くのお客様に伝えてください。

では、教材を紹介いたします。


ここから商品説明に入ります。
続きを見たい方は、「引用」にあるリンクを踏んでください。

引用:売れる文章設計法 教材CD

これと似たストーリーで、情報ビジネス系で広く使われている「ストーリーフォーミュラ」があります(自分の経験を元にしたノウハウを売るため、相性がいいのです)。2パターンを紹介します。

短め

  1. 見込み客と似ている境遇
  2. 失敗や挫折の経験
  3. 出会いや発見、気づきを得る
  4. 成功を掴み、成功し続ける
  5. 成功を分析・研究して商品化
  6. 周りに伝え、周りも成功する
  7. 次はあなたの番

少し長め

  • 見込み客と似ている境遇
  • 失敗や挫折の経験
  • 出会いや発見、気づきを得る
  • 成功を掴み、成功し続ける
  • 成功を分析・研究して商品化
  • 周りに伝え、周りも成功する
  • まだ問題を抱えている人は大勢いる
  • 多くの人に広げることを決断
  • 次はあなたの番

ストーリーフォミュラも、商品開発者がお客と同じ悩みを抱え、とあるきっかけから成功していく流れです。

3幕構成と違うのは、⑥(周りに伝え、周りも成功する)をストーリーの中で伝えている点です。また、「短めの⑦」と「長めの⑨」は、「次はあなたの番」ときれいに締めているため、セールスライティングとしても完結しています。

どのストーリーを選ぶかは、商材や状況に応じてください。

まとめ

セールスライティングに使えるストーリーを3つに分類して、解説してきました。

ストーリーテリングに関する本は、映画や小説向きに書かれていて、セールスライティングに特化したものはほとんどありません。私の経験や知識を総動員して使えるように整えた次第です。

本記事を参考に、あなたにしか書けないストーリーを作り上げてください。

ストーリーの真髄を
知りたいのなら

この門を
開けるがいい

以下、参考文献

面白い物語の法則 上下巻(著 クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ)
心に刺さる「物語」の力(著 キンドラ・ホール)
脳が読みたくなるストーリーの書き方(著 リサ・クロン)
驚異のストーリープレゼン(著 カーマイン・ガロ)
ストーリーブランド戦略(著 ドナルド・ミラー)
ストーリー・ブランディング(著 ジム・シグノレリ)
ストーリーが世界を滅ぼす(著 ジョナサン・ゴットシャル)
ことばの起源(著 ロビン・ダンバー)
「感情」から書く脚本術(著 カール・イグレシアス)
キャラクターからつくる物語創作再入門(著 K.M.ワイランド)
人の心を動かすストーリーの作り方入門(著 たちばな やすひと)

商品を売るためのストーリーテリングを徹底解説

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この記事を書いた人

深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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