『希少性の原理』が働く3つの理由と活用法7選

「うぉー! 超激レアが出た!!」
スマホゲームで遊んでいる私の息子は、珍しいキャラを引いては跳ねるように喜んでいます。

これは子供に限った話ではありません。
大人でも、珍しい商品や限定商品と聞くと無性に欲しくなり、ついつい買ってしまうものです。希少な物の価値を高く見る心の癖が人間にはあるからです。心理学ではこれを、「希少性の原理」などと呼んでいます。

今回お伝えするのは、まさにこの心理です。

この記事を読めば、『希少性の原理』が理解でき、マーケティングをはじめ、セールスライティングにも有効活用できます。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

目次

希少性を欲する3つの理由

人はなぜ、希少性のある商品を欲しがるのか。
その理由は3つあります。

1.価値の上昇
2.損失回避性
3.誇示的欲求

この3つがあるために、人は強い衝動に駆られ、ついつい購入してしまうのです。

では一つずつ解説します。

1.価値の上昇

今の時代、食料はいつでもどこでも手に入ります。
加えて、缶詰や冷蔵庫などもあり、長期的に食料を保存できます。狩猟採集時代には考えられなかったことです。

狩猟採集時代、人類にとって食料は常に希少でした。今目の前にいる動物は、今狩らなければ明日狩れるとは限りません。今ある木の実が、明日まで鳥に食べられず、地面に落ちずにあるとも限りません。今ある資源(チャンス)を軽く見る祖先は、生き残れませんでした。

また、珍しい食料は貴重な栄養素でもありました。砂糖を食べると快楽ホルモンが分泌されるのは、砂糖が希少だったからと言われています。

この認知メカニズムが今もなお残っているため、「希少なもの=価値が高い」と人は認識するのです。ただ希少というだけで、何の役にも立たないようなものでさえ、高価な値が付くことだってあります。

2.損失回避性

人は失うことを極端に嫌います。
行動経済学では、人は利益を得るよりも損失を回避したがることが知られています。比重としては、利得1に対して損失1.5~2.5です。つまり、2,500円得る喜びの大きさと1000円失う悲しみの大きさは同じなのです。こうした心の動きを、『損失回避性』と呼んでいます。

回避したがる損失は、物やお金だけではありません。「機会」も入ります。希少性を別の言い方に換えれば、「今手に入れなければ、手に入れる機会を失う」です。

希少性(今手に入れなければ、手に入れる機会を失う)は、まさに機会の損失に直面しており、『損失回避性』が働きます。「残り◯個」「限定セール」の文字を見ると、急かされた気持ちになるのは、まさに「機会を失いたくない」といった心の動きから来ているのです。

特に女性は、男性よりも『損失回避性』が強く働くことが分かっています。つまり限定セールに強く反応するのは、男性よりも女性なのです。セールが常に行われている楽天市場の主なユーザーが30~60代の女性なのは、当然の帰結なのかも知れません。

3.誇示的欲求

珍しい物が手に入ったとき、知人に自慢した経験はありませんか?
なぜ人は、珍しいものが手に入ったら、見せびらかしたくなるのでしょうか。それは、自分の存在を「特別な存在(優れた存在)」としてアピールしたいからです。希少性の高いものを持っている自分は特別な存在だと誇示したいのです。

想像してください。
仮にあなたがMacユーザーだとして、世界限定100モデルが手に入ったとしましょう。あなたはきっとその日からスタバに通い、スカした顔でPCを広げて仕事をするはずです。この時味わっている優越感は、さまに「俺は特別だ」なのです。

「特別な存在」のアピールは、自分自身にも作用します。自己評価を高めてくれるブランド品を身に着けたり、所有したりすることで、自信がつき、言動も変わっていきます。自己暗示(プラシーボ効果)です。

自信のあるような態度や言動が取れれば、男性は女性からモテるようになり、女性は下位の男性を遠ざけられます。進化心理学の観点から見て、自己評価を上げることに意味があるのです。

また、女性は希少性のあるものを男性から贈られることで、相手の愛情を量ります。ダイヤモンドの指輪がまさにそれです。愛情の証としてダイヤモンドが選ばれているのは、なるべくしてなっていると言えますね。

こうした心理を別名、スノップ効果と呼ばれています。

コラム / 相反する?しない? バンドワゴン効果とスノッブ効果

人間心理には、みんなが持っているものを欲する「バンドワゴン効果」と希少性の高いものを欲する「スノッブ効果」があります。

この2つの心理、一見すると相反しているように見えます。確かに、言葉の意味から考えれば、この2つは相反しています。

実は、状況に応じて作用する心理が異なるのです。これを理解するために、まずは「バンドワゴン効果」について説明する必要があります。

「バンドワゴン効果」は、不安なものに対して、安全か危険かを見極める際に働く心理です。行列ができている飲食店を見て、自分もそのお店に入ってみたいと思うのが、まさに「バンドワゴン効果」です。「みんなが食べているのだから、美味しい(安全)だろう」と考えます。これも、狩猟採集時代から育まれた進化(進化心理)の結果です。

想像してみてください。
食料を求めてジャングルを歩いていたら、初めて見る木の実を見つけました。この木の実は食べられるのか、それとも食べられないのか、判別が付きません。そこに仲間が現れて、その木の実を食べはじめました。その様子を見ていたあなたは、「これは食べても大丈夫な実だな」と判断し、食べはじめるはずです。

このように人類は、他人の行動を見て学習するように進化してきました。他人の行動を見て学習できなかった(しなかった)人類は、生き残っていないはずです。

「バンドワゴン効果」は、自分の判断に自信のないときや不安なときに表れる心理です。何を買ったらよいのかと迷っているときや、自分の中に商品を選ぶ基準がないときほど強く働きます。

続いて、「スノッブ効果」です。この心理は、安全が担保されている状態から発露されるものです。

たとえば、聞いたこともないシューズメーカーの限定モデルをあなたは欲しいと思いますか? 「どんな会社なのか」と不安になるはずです。それがもし、ナイキの限定モデルならどうでしょうか。欲しいと思うかもしれませんよね。昔流行ったエアーマックスシリーズがまさにそれでした。(私はエアマックス、盗まれました)

このように、希少なら何でも価値が上がるわけではなく、一定の認知と信頼(ブランド)が築かれていなければなりません。この認知と信頼が高ければ高いほど、その中から出てきた希少性はさらに価値が高まります。それを手にすれば、誇示的欲求が満たされるからです。

よって、「バンドワゴン効果」と「スノッブ効果」は相反する心理ではあるものの、干渉することはないのです。

※2021年9月の科学論文でも、「不安が強いと皆と同じ商品を求め、不安が弱いと独自デザインに魅力を感じる」といった心理が働くと発表されました。
論文:怖いので買います!独立および相互依存の自己解釈でプライミングされた個人間の消費者の同化および分化の必要性に対する不安の影響

『希少性の原理』を発揮するためには、真実味が不可欠

『希少性の原理』は、先述した3つの心理作用から消費行動を促します。

しかし、しっかりと作用するためには、一つの前提が担保されていなくてはいけません。「真実味」です。希少性には真実味がなければ、その意味(効果)を大きく失います。

目の前にある限定商品が、近い将来に追加製造されることをお客が知っていたらどうでしょうか? または、在庫があるにもかかわらず、あえて限定に見せていることにお客が気づいていたらどうでしょうか? 希少性の真実味は薄れ、その効果も発揮されなくなります。

『希少性の原理』を100%発揮するには、嘘や騙しがあってはいけません。限定を謳っていた商品が、間を置かずに新たに棚に並んだら、お客はその会社の言葉を信用しなくなります。次に限定を謳っても、効果は薄くなるのです。

「限定」を謳うのなら、次回の販売までに一定の時間を置くか、次の入荷はかなり先になる旨を伝えましょう。小手先だけで『希少性の原理』を使い続けていたら、効果が薄くなるどころか、信用まで失います。

状況が真実味を与える

『希少性の原理』が発動するには、真実味が大切だとお伝えしました。もう少し理解を深めるために、身近な例から解説します。

特に、希少性に真実味が帯びるのは「状況」です。閉店、旅行先、製造中止といった状況は、希少性に真実味を持たせます。たとえば、「メーカーの倒産によりAモデルの販売は現品限りです」となれば、その希少性には真実味があります。倒産なら、確かに製造されることはないからです。

このように、希少性に真実味を与える状況は、主に3つあります。それぞれ説明していきます。

1.閉店

普段は立ち寄りもしないお店でも、近々閉店すると知って足を運んだ経験はありませんか?
閉店(もうそこのお店の商品が買えなくなる)という状況が希少性を高めているからです。

事情のある場合を除き、閉店したのに再び新たにお店を構えるといったケースはほぼありません。そのため閉店には「もう買えなくなる」という真実味があります。これにより、「今買わないと買えなくなる」とお客が強く認識するため、閉店間際になると客足が増えるのです。

2.旅行先

滅多に行かない旅行先では、工芸品や名産物をつい買ってしまいますよね。これがもし、頻繁に行く旅行先なら話は別です。そこまで財布の紐はゆるくならないでしょう。また、ネット通販でも取り寄せられる商品なら、人によってはわざわざ買わないでしょう。

「この場所でしか買えない」という確かな状況が、旅先に売られている物の価値を高めているのです。

3.製造中止

私が愛用している万年筆があります。
ワインレッドカラーのもので、かれこれ20年近く使っています。もし壊れても、同じものはもう手に入りません。新モデルがリリースされているため、製造していないからです。

私の万年筆のように、製造されなくなった商品はたくさなります。中にはプレミアム価格が付いて、中古市場で取引されるケースもあります。

製造中止という事実が「もう二度と製造されない」という真実味を生むからです。これがもし、「また製造しまーす」と告知されたなら、プレミアム価格は値崩れを起こすでしょう。

このように、希少性は「もう二度と手に入らない」という状況、つまりは真実味が必要です。

真実味の大切さを理解していただいたところで、実際に販促の場でどう使っていくのかをお伝えします。

『希少性の原理』を活かした販促法7選

希少性を訴えるアプローチは全部で7つあります。
※ここでは、限定性も希少性に含みます。

1.人数(例 10名様限定)
2.数量(例 10個限定)
3.時間(例 12時~15時まで)
4.日数(例 10月10日~10月15日まで)
5.曜日(例 水曜日限定)
6.客層(例 女性限定)
7.条件(例 ○○を買われた方限定)

どれも見覚えのあるものだと思いますが、改めて説明させていただきます。

1.人数

人数制限は、席や部屋といった物質的な制限があるビジネスに用いられる希少性です。
こうした箱物ビジネスの場合、構造上、希少性に真実味が担保されているため、数に限りがあることに真実味があります。

たとえば、「セミナー会場は、◯◯市◯◯センターの401号室 30名様限定」と表記して会場の写真を載せたとします。それを見たお客は、「確かに、30名しか入らない会場だな」と伝わります。

2.数量

数量限定には、製造レベルと販売レベルがあります。
製造レベルとは、製造段階からすでに数が限られているものを指します。販売レベルとは、仕入れた数や残りの数が限られているものを指します。当然、製造レベルから数が限られているほうが希少性は高いです。

限定された数しか製造されていない商品なら、その旨はしっかりと伝えましょう。「限定モデル! 残り◯台 追加製造なし」と一言書くだけで、希少性の高いものだと伝わります。

3.時間

時間帯による限定は、サービス業に向いています。
「◯時~◯時までは、△△の限定サービスが受けられます」といったように。

暇な時間帯に活用してお客を集めてもいいですし、あえて忙しい時間帯に活用して行列を作るのもいいでしょう。

効果的に使えば、集客に大きく寄与します。

4.日数

日数限定は、時間限定をさらに伸ばしたものです。
イベント企画などでよく目にします。「◯◯イベント 1月10日~1月15日開催」といったように。

イベントに人が集まるのは、まさにイベントが「その期間だけ」だからです。知らず知らずのうちに「希少性の原理」が発動しているのです。

小売業でも期間を設けた商品を提供していきましょう。たとえば、季節限定の定食を出すのもその一つです。個数とかけ合わせてもいいですね。「秋の味覚定食 1日10食限定」といったように。

5.曜日

期間ではなく、曜日を限定するという手もあります。
たとえば、「水曜日だけ特別なコスチュームでご主人さまを迎えてくれるメイド喫茶」といったように。

曜日に近いやり方に、「◯(数字)の付く日」といった限定性もあります。たとえば、「5の付く日は、珍しい食材を使った料理をご用意しています」といったように。

時間や日数の限定には連続性がある一方で、曜日や◯(数字)の付く日といった限定は点在的です。集客しやすい曜日や日、または、閑散となる曜日や日に活用するのがいいでしょう。

6.客層

属性による限定は、特定のクラスターを集客したいときに使います。
よく目にするのは「女性限定」です。女性客を集めるために、女性限定のサービスを設けたりします。

客層による限定性は、「企画力」が勝負になります。たとえば、「カップル限定」と限定する際、お客から見て「確かにこのサービスは、カップル向けだよな」と思われなくてはいけません。

客層の限定は、時に戦略レベルでも扱われます。たとえば、「女性専用のクリニック」「大きいサイズのメンズ服店」などがそうです。

客層を限定することで安心感を与えるほか、コンセプトが明確になるといった利点もあります。

7.条件

条件による限定は、主にお客に特別感を与えるために使います。
人は、特別感を覚えると財布の紐が緩んでしまうものです。

航空会社のサービスが好例です。
会員のランク別に受けられるサービスが異なります。航空会社の会員は特別なサービスを受けたくて、いや正確には優越感に浸りたくて、ランクを上げるためにお金を落としていきます。

この手でよくある間違いは、上位客への割引です。「ゴールド会員になれば、10%割引でご購入できます」といった企画は、わざわざ企業側から売上を下げに行っているようなものです。

たくさんお金を払ってくれる上位客に対しては、もっとお金を落としてもらえるよう仕掛けるのが良策です。その際に大切なのは、特別感の演出、いかに優越感に浸ってもらえるかです。

以上が7つの希少性です。
状況や目的に合わせて、使い分けたり、組み合わせたりしてください。

『希少性の原理(限定性)』の効果を10倍にする5つのコツ

希少性の効果を10倍にするコツがあります。
これは大げさではなく、上手くハマれば本当に10倍の効果が得られます。

希少性の原理を高めるコツは、5つあります。

1.限りなく数を少なくする
2.限定である理由を伝える
3.「お一人様◯個まで」と伝える
4.情報にも希少性を持たせる
5.減りゆく様子を見せる

1. 限りなく数を少なくする

希少性は数が少なければ少ないほど価値が高まります。

「100個限定」よりも「30個限定」、「30個限定」よりも「10個限定」のほうが価値は高まるのです。また、数が少なければお客の心を急かせられます。

限定数は、絶対に売れると確信できる個数にするのが正解です。もし、限定販売にも関わらず売れ残ってしまえば、お客に「限定でも売れ残る。急いで買う必要はない」と思われてしまいます。そうなれば、この先限定を打ち出しても効果は薄くなるでしょう。

確実に売れる数を仕入れて完売すれば、「ここのお店(会社)の限定商品はすぐに買わないと無くなる」と思わせることができ、希少性の効果はこの先も発揮されます。

企業の中には、あえて製造数を抑えているところもあるぐらいです。即完売を作り出し、お客の次回への購入意欲を高めているのです。

「販売数を少なくしたら、機会損失するんじゃないか」といった疑問が浮かんだかもしれませんね。確かに、ある程度の機会損失は避けられません。ですが、最小限に抑える方法はあります。

それは、完売後の注文は予約とするのです。
「お陰様で、たった一週間で完売しました。次回の入荷は◯月です。またすぐになくなる可能性があります。ご希望の方はご予約ください」と伝えておくのです。

こうすることで、機会損失を減らしつつ、在庫のリスクを減らすこともできます。

2.限定である理由を伝える

希少性には、真実味が必要だと先述しました。
状況が真実味を担保していなければ、なぜ限定なのかを伝える必要があります。「◯◯なため30個限定です」と。

理由なき限定は、ただの販売手法に見られてしまいます。まぁ、実際そうなのかも知れませんが、建前であっても理由は用意しておきましょう。理由があるだけで、真実味はだいぶ高まります。

3.「お一人様◯個まで」と伝える

「お一人様◯個まで」
これは魔法の言葉です。

「お一人様3個まで」と告知をすれば、3個購入する人が続出します。さらに「お一人様5個まで」と告知すると、5個購入する人が続出します。

書籍『ファスト&スロー(上)』(著 ダニエル・カーネマン)では、個数を制限したスーパーマーケットの事例が紹介されています。

セールス品に「お一人様12個まで」と張り紙を出した日は、何もしなかった日に比べて、売れ行きは2倍に達したとあります。

おそらく、アンカリング効果(最初に見た数字に引っ張られる作用)と暗示作用(人気だから購入数に制限をかけている)が働いているのでしょう。

たった一言で単価が上がるため、やらない手はありません。

4.情報にも希少性を持たせる

情報にも希少性を持たせると売上は跳ね上がります。

書籍『影響力の武器』(著 ロバート・B・チャルディーニ)には、商品の希少性だけではなく、情報にも希少性を持たせた場合、売れ行きがどう変わるかを示す事例が紹介されています。

セールスマンにスーパーケットの小売店の仕入れ係に電話をかけてもらい、以下の3つの方法で注文を取ってもらいました。

第1グループ:標準的なプレゼン
第2グループ:標準的なプレゼン +牛肉の供給が減るという情報(商品の希少性)
第3グループ:標準的なプレゼン +牛肉の供給が減るという情報(商品の希少性)+このニュースはまだ一般に知られていない旨(情報の希少性)

第1グループの売上が一番少なく、第2グループの売上は、第1グループに比べて2倍以上。第3グループは、第1グループに比べて6倍もの量が売れたのです。

情報自体に希少価値を持たせられれば、「この情報は貴重だ。話に乗らないと損かもしれない」と思わせることができます。

私もDMを送付する際にこの手をよく使います。
まずは、上位客からDMを送り、「限られた商品ですので、まずはお得意様からご案内させていただきました。一般のお客様にお知らせするのは1ヶ月後です。」といった旨を伝えます。

限られた数しかないという商品の希少性、まだ一部しか知らないという情報の希少性、特別扱いされたという優越感。この3つの作用から、お客の消費行動を促します。この手のやり方は、笑っちゃうぐらい商品が売れていきます。

5.減りゆく様子を見せる

リアルタイムで商品が減りゆく様を見せられると、人は焦燥感を掻き立てられ、冷静な判断力を失ってしまいます。その結果、「えいやっ」と商品を注文してしまうのです。

この心理を利用して、個数限定なら「限定30個」→「残り16個」と見せたり、時間ならカウントダウンを表示させたりします。

私がFAXDMを送付したときのことです。
3日間限定でサンプル進呈のオファーを提示し、美容室にFAXDMを送付しました。1度目は1.8%の反応率がありました。普通ならここで終わりでしょう。

しかし私は、最終日にも「残り6時間です」と書いたFAXDMを送付したのです。結果は0.5%の反応がありました。もし送っていなければ、0.5%分の反応はなかったのです。

今は、LINE@をはじめとした、様々なSNSがあります。これらを使えば、無料で情報発信ができるため、減りゆく様をリアルタイムで知らせることもできます。これらを使わないのはもったいないです。

アナログなら2回、デジタルツールなら3回は知らせるようにしてください。

セールスライティングにおける希少性の役割

希少性に関する情報は主にキャッチコピーとクロージングコピーに載せます。

なぜ、この2箇所なのかを説明します。

キャッチコピーに載せる目的

キャッチコピーに載せる目的は、本文を読んでもらうためです。
先述したように、人には損失を回避したがる心理傾向があります。希少性の有無によって、この心理が働いたり、働かなかったりするのです。

もし、希少性がなければ「興味ないな。読まなくていいか」とスルーされてしまうでしょう。希少性があれば「もしかしたら役立つ情報があるかもしれない。念のために読んでみよう」と思ってもらえます。

セールスライティングを学んだ人なら、一度は耳にする言葉があります。「キャッチコピーの目的は、本文の一行目を読ませること」です。希少性には、これをさせる力があります。

希少性に関する情報は、キャッチコピーに書くようにしてください。マイナスに作用することは、ほぼありません。

「希少性」をクロージングコピーに載せる目的

クロージングで希少性を謳うのは、背中押しのためです。
背中押しは、あくまでも「欲しい!」という感情がなくてはいけません。加えて、「この会社のこの商品は信頼できる。買っても大丈夫だ」と理性のブレーキも外しておく必要もあります。

アクセル(感情)を踏ませ、ブレーキ(理性)を外す役目は、ボディーコピーが担っています。そのため、希少性を伝えるタイミングは、ボディーコピーの後のクロージングコピーになります。

まとめ

私が知りうる希少性に関する知識は、これがすべてです。
希少性の原理が働くメカニズムを深く理解できれば、正しくそして効果的に活用できます。ぜひ、販促やセールスライティングに活かしてください。

以下、参考文献

『影響力の武器』(著 ロバート・B・チャルディーニ)
『ファスト&スロー』(著 ダニエル・カーネマン)
『消費資本主義』(著 ジェフリー・ミラー)

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深井貴明のアバター 深井貴明 セールスコピーライター

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社のコピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

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