「売上№1の商品をつい選んでしまう」
「レビューの評価が高いとポチってしまう」
「人気のお店は美味しいと思ってしまう」
どれもこれも、『社会的証明の原理』と呼ばれる心理作用です。別名、『バンドワゴン効果』とも呼ばれています。
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』とは、多数の人が指示しているものを正しい(良いもの)と感じ、それに従おうとする心の動きを指します。
今回は、『社会的証明の原理』への理解を深めるとともに、マーケティングやセールスライティングでの活用方法をお伝えします。
広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。
なぜ「集団」に従うのか
進化心理学の知見を借りれば、なぜ、私たちに『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』が備わっているのかが見えてきます。
進化上の理由は2つあります。
一つは「模倣による学習」、もう一つは「嫌われないための生存戦略」です。一つずつ解説しましょう。
模倣による学習
私たちの脳には、狩猟採集時代に培われた本能が今でも色濃く残っています。この時代は、食料を得るのが何よりも重要課題でした。安全に食料にありつけるよう、人間は進化したと考えられています。
狩猟採集時代にいる人類だと思って想像してみてください。あなたは初めて見る木の実を見つけました。この木の実は食べても大丈夫か、それとも毒なのかは分かりません。食べてみて、異常をきたさなければ問題ありませんが、毒だったら死んでしまいます。(この時代、判断ミスひとつが命取りになる)
そこに複数の仲間がやってきて、木の実を食べ始めました。仲間が食べるのを見て、あなたは「この実は安全だ」と判断し、仲間と同じように食べ始めるのではないでしょうか。このようにして人類は、仲間の行動を見て学習(模倣)をしていき、生き抜いてきたのです。
これは食料に限った話ではありません。
獲物の捕まえ方から道具の作り方まで、仲間の行動を模倣して学習していったのです。もし、仲間の行動を見ても、「自分で確かめないと気が済まない」と考え、模倣をしない人類がいたとしたらどうでしょうか。生き残ることはできず、その遺伝子は残っていないでしょう。
「賑わっているのだから、このお店の料理は美味しいに違いない」。そう考えるのは、まさに進化上の心理作用です。
思い出してください。
商品の人気や評価を気にするときは、「買ってもいいかな、それとも買わないほうがいいのかな」「どれにしたらいいかな」と迷っているときではないでしょうか? つまり、自分の判断に不安や迷いがあるときや確固たる選択基準を持っていないときほど、社会的証明の原理が強く働くのです。
逆に、自分の判断に自信があるとき、確固たる選択基準を持っているときは、人気や他人の評価をあまり気にしないはずです。もしかしたら「この商品の良さが分からないなんて、可愛そうな奴らだ」と思うかもしれませんね。
嫌われないための生存戦略
狩猟採集時代、人類は小さな集落を作って集団生活をしていました。お互い助け合い、役に立ち合いながら生活しています。互助互恵社会です。
しかし中には、働かない者、役に立たない者、ルールを破る者が少なからず出てきます。そんなはみ出し者は、追放されるか、仲間に殺されます。
はみ出し者へ厳しく当たる心理は、今もなお残っています。変わり者をいじめる人がいるのも、生活保護者をバッシングする人がいるのも、法ではなく私刑(社会的に抹殺)したがる人がいるのも、集団生活をしていく中で進化上備わった心理なのです。
今は、法や福祉が充実しているため、嫌われたからといって殺されたり、飢えたりすることはありません。しかし、狩猟採集時代は、集団から嫌われれば、生きてはいけませんでした。他人からの評価がいかに生存に影響していたのか、なんとなくご理解いただけたかと思います。
『社会的証明の原理』は、「みんなと同じ行動をしたい」と表現するよりも「みんなと違った行動を取るのが怖い」と表現したほうが正しいのかもしれません。
集団に従う人の心を明かした有名な心理実験「アッシュの同調実験」があります。
被験者5人を集め、複数ある紐の中から一番長い紐を選んでもらいます。しかし、5人中4人は仕掛け人です。その4人にはあえて間違った選択をしてもらいます。すると、被験者は4人と同じ紐を選んでしまうのです。
この実験は、再現実験が何度も行われ、同様の結果が得られています。
「明らかにその答えはおかしいだろ」と思っていても、自分以外の人間が支持していたら、自分もそれに乗っかってしまうのです。
この心理の行き着く先は、集団主義です。
世論が一つの意見に傾向したとき、国民の大多数がそれに同調し、反対意見者を異端児とみなす。どこの国も多かれ少なかれ経験してきた事象です。
一大ブームを起こした『鬼滅の刃』。
とりわけ、劇場版「夢限列車編」は、歴代興行収入1位に輝く快挙を成し遂げました。盛り上がっている最中に、冷水を注ぐ勇気があなたはあったでしょうか? 「騒ぐほどの映画じゃない」「そもそも映画としての体をなしていない」云々と。下手をしたら炎上するかもしれませんよね。声を上げられないのも、みんなが支持している作品にケチをつける人間を叩きたくなるのも、すべては進化上、私たちに備わった心理機能です。
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』と『社会的規範』
行動経済学では、人の行動を誘導するために、「ナッジ(“肘で軽く突く”の意)」という手段が用いられています。インセンティブやルールといった強い力を用いることなく、ほんの少し知らせてあげる程度の力で行動を誘導しようとする考えです。
ナッジには「社会的規範」という概念があります。
社会的規範とは、社会生活を営む上で守らなければならないとされる規準、法律、道徳、慣習などを指します。「みんなが守っていることやみんなの迷惑にならないことをしましょう」と言い換えることもできます。『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』とニュアンス的に近いです。どちらも共通しているのは、「同調を促している」という点です。
ホテルのタオル再利用率を上げた同調性
心理学者のゴールドスタインらが行った、ホテルのタオル再利用を促す実験があります。
まず、ホテルの部屋に「環境保護にお手伝いください」というメッセージの札を置いたところ、タオルの再利用率は5%減ってしまいました。
次に、「このホテルのお客様の75%がタオルを再利用しました」というメッセージの札を置いたところ、タオルの再利用率は20%増加しました。
さらに面白いのは、「このホテル」を「この部屋」に変えたところ、タオルの再利用率が20%増から35%増になったのです。
より身近になるほど、同調性が強くなることが分かりました。ほかの実験でも、その効果が見て取れます。
税金の支払いを促した同調性
イギリスにおいて、徴税催促をした実験があります。以下の5パターンのメッセージを送り、効果があるものを調べました。
A.10人のうち9人は税金を期限内に支払っています。
B.イギリスにおいて10人のうち9人は税金を期限内に支払っています。
C.イギリスにおいて10人のうち9人は税金を期限内に支払っています。あなたは今の所まだ納税していないという非常に少数派の人になります。
D.税金を支払うことは、私たち全員が、国民健康保険、道路や学校などの必須の社会的サービスから便益を受け取ることを意味します。
E税金を支払わないことは、私たち全員が、国民健康保険、道路や学校などの必須の社会的サービスを失うことを意味しています。
最も効果があったのはC。次にB、Dと続きます。
「イギリスにおいて」とあることで同調性を強調し、「あなたは少数派」と伝えることで、「はみ出し者」になる恐怖心を刺激しています。
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』の正体は、同調圧力
だんだんと『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』の理解が深まってきたと思います。『社会的証明の原理』も『社会的規範』も、言ってみれば一種の「同調圧力」なのです。
「同調圧力」と聞くと、あまりよいイメージを持たれないかもしれません。悪しきものとして扱われているからです。
しかし、人類に同調圧力の機能が今も備わっているのは、生存率を上げてきたからにほかなりません。この心理は、この先も無くなることはないでしょう。ならば、忌避するのではなく、深く理解して上手く活用していくほうが健全だと私は思います。
さらに『社会的証明の原理』の理解を深めていきましょう。
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』が働く5大要素
今まで見てきてた『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』が強く作用するには、5つの要素があると分かります。
- 不安な状態であること
- 類似していること
- 人気があること
- 評価が高いこと
- 社会的規範であること
では、一つずつ考察していきましょう。
1.不安な状態であること
私は、興味のある新刊が出た際、Amazonのレビューが溜まるのを持ちます。レビューを見て、買うべきかどうかを判断しているのです。時には、Amazonのレビューだけではなく、書評ブログや書評動画も見て判断します。立ち読みで中身を調べられない環境下でできる、私なりの選別方法です。
このように人は、自分の選択に不安がある、または自信がないとき、他人の評価を気にします。そして評価されているものを選ぶのです。
逆説的に言えば、不安を煽れば、社会的証明の原理が働きやすいとも言えます。セールスライティングでは、『PASONAの法則』といった不安を煽る有名な型があります。このような不安を煽る型と『社会性証明の原理』は相性がよいのです。
煽って煽って煽りまくった後、購入者のレビューを見せる。お客は「こんなにも使っている人がいるんだな」と安心して商品を購入してくれます。
日本人は、「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」の放出量が世界で最も少ない民族です。セロトニンが少ないと不安を覚えやすく、リスクを恐れて消極的になり、周りに合わせようとします。「日本は同調圧力が強い」と言われていますが、その背景にはセロトニンが影響しているのかもしれませんね。
不安を覚えやすい民族なら、不安を煽るコピーは他国よりも効果的だと推察できます。
2.類似していること
ターゲット客に類似した人のレビューを載せていますか?
インパクトのある順から並べている人もいると思いますが、それは間違いです。並べる順番は、ターゲット客と類似性の高いものからです。
なぜなら人は、自分に似た人の話に耳を傾けるからです。広告を見た40代女性が関心を寄せるのは、自分と同じ40代女性のレビューです。
たとえば、ターゲット別に広告を出しているのであれば、ターゲット別にLPを用意し、レビューもターゲットに合わせて並べてください。それだけでLPのCVRは向上します。これほど手軽にCVRを上げる方法はほかにありません。
この手法は、リ・ターゲティングでも使えます。LPに訪れた人に見せる第2段のLPとして、最初のLPとは違ったレビューを見せるようにするのです。それだけでもCVRは変わってきます。
少しの手間で効果を上げられる施策です。ぜひ挑戦してください。
類似性を高めるために必要な基本情報
類似性を高めるには、レビュワーの情報を細かく載せる必要があります。
基本情報とは、顔写真、名前、性別、住所、年齢、職業です。レビューは、抱えていた悩み、購入の決め手、購入後の結果といった、ビフォーアフターがハッキリしているものが理想です。
こうした基本情報や細かな情報は、類似性だけではなく、信憑性も高めてくれます。さらに、動画によるレビューもあれば、言うことなしです。
動画をわざわざ見てくれるお客は一部しかいないかもしれませんが、「動画がある」という事実が大事なのです。顔を出してまでレビューに協力している人がいることが伝わり、レビュワーの熱量が伝わります。
カメラを向けられてスラスラと商品のレビューを語れる人はそうそういません。こちらから、話してほしいことの順番を提示したほうが双方にとって都合がよいでしょう。
では、どんな手順がよいのか。
書籍『見せるだけで売れてしまう「事例広告」の方法』(著 村中 明彦)が参考になります。
質問事項は以下です。
「買う前」についての質問
1. いつ、どんなきっかけで「この商品の分野」に興味を持ちましたか?
2. 「この商品」を、いつ、どこで知りましたか?
3. そのときの第一印象は?
「買うとき」についての質問
4. 「この商品」を買うとき、ほかの商品と比べましたか?
5. 比べたとしたら、どの商品と比べましたか?
6. なぜ最終的に「この商品」を選んだのですか。理由を3つ教えてください。
「買ったあと」についての質問
7. 今、「この商品」をどう活用していますか?
8. 「この商品」のよいところ3つ、悪いところ3つ教えてください。
9. 当社への今後の期待、要望を教えてください。
よくできた質問事項だと思います。
ほかにも、インタビューのお願いから必要記事の準備など、マニュアル化されている本も多数あります。参考にしてもいいですね。
SNS投稿をはめ込むのも手
今の時代、SNSでの評価を見てから商品を購入する人が増えています。私もそうで、TwitterやInstagram、YouTubeなどで商品名を検索して、購入者の感想を参考にしています。
こういったSNSに投稿された感想をLPに埋め込むのも効果的です。率直な感想のため、信憑性の高いレビューだと思ってお客は読んでくれます。
そもそも、ECサイトやLPにレビューがあるのに、なぜSNSをチェックするのか。それは、ヤラセレビューが多いからです。
特にAmazonのレビューはひどいですね。ヤラセが横行していて、粗悪品を掴まされるリスクがあります(「さくらチェッカー」という、ヤラセレビューをフィルタリングするサービスまである)。
企業側が用意したレビューへの信憑性が下がっているからこそ、SNSでの感想の価値が上がっていると見ることもできます。
3.人気があること
人気があるものは、より人気を集める。様々な場面で見られる光景です。タピオカブームも、人気が人気を集めた一例でしょう。終わってみれば、何であんなに熱狂していたのかと思うこともしばしば。
商品の人気は、実は評価よりも重要なのです。
スタンフォード大学による、レビュー数と評価のどちらが購買に影響するかを調べた実験があります。
被験者には、2つの商品のどちらを買うのかの選択を33回してもらいました。レビューの星の数(5段階)は、2.7と2.4、レビュー数は約150人と約25人のもの。結果は、星の数よりもレビューの数が多いほう(約150人グループ)を好むことが分かりました。
ちょっと、思考実験をしてみましょう。
A商品 ★★★★☆ レビュー数30
B商品 ★★★☆☆ レビュー数786
B商品はA商品よりも評価は低い一方で、レビュー数は多いです。Bのほうに興味をそそられませんでしたか? このように、レビュー数の多さは、「売れている」ということのシグナルとなり、強い関心を引くのです。
「社会的証明の原理(バンドワゴン効果)」は、行列を見たら自分も行列に参加してしまう心理です。大事なのは、行列の長さ、つまり数です。たとえ、1つ星ばかりだとしても、10,000ものレビューがあれば、逆に見てみたくなりませんか。多くの人が見ている(人気がある)は、それだけで力なのです。
ほかにも、購入者の数が消費行動に与える影響を調べた実験があります。
実験者のマシュー・サルガニクらは、音楽ダウンロードサイトを立ち上げて、14,341人の協力を元に、無名のバンドの曲を聴いてもらい、気に入ったものをダウンロードしてもらいました。
いくつかのグループに分けて、ダウンロード数だけ見えるようにします。そうしたところ、ダウンロードされた回数が多い曲ほどダウンロードされることが分かりました。
また、最初にダウンロードされた曲が、その後の選択に大きな影響を与えることも分かりました。(最初にダウンロードされた曲は次の人もダウンロードする率が高く、さらに次の人も、と続きやすくなる)
つまり、人気があるものは、どんどん人気が集まるのです。たくさん売りたければ、たくさんの販売数、評価数を集めるのが有効なのです。
バズっている投稿は、そうでない投稿と比べて「RT」や「いいね!」を心理的に押しやすいです。みんなが反応しているから自分もとなるのです。炎上している投稿だった場合、「俺もいっちょ、ひと噛みしてみるか」と、軽いノリでリプを送る人もいるでしょう。
「RT」や「いいね!」といった反応が多ければ多いほど、『社会的証明の原理』が働き、同じように反応してしまいます。
評価の数は、評価の高さよりも『社会的証明の原理』が働きやすいのです。
4.評価が高いこと
評価は、低いより高いほうが好ましいです。
言うまでもなく、星が3つよりも5つのほうが売上にも貢献します。
また、発売されてすぐに高評価されたものは、順調に売上が伸びる傾向にあります。人気になるコンテンツは、初回から人気を博したものばかりです。後から評価されるパターンは珍しいでしょう。
この傾向は、クラウドファンティングでも見て取れます。書籍『成功するクラウドファンティング』(著 小田 恭央)によれば、初動で達成率20%を超えるお金が集まったプロジェクトは、17%しか失敗しないとあります。一方、失敗プロジェクトの大半は、初動で達成率20%を満たしていないそうです。
評価に項目を作る
平均評価だけを載せるのではなく、評価軸を複数用意するのも手です。
たとえば、
価格:★★★☆☆
デザイン性:★★★★★
操作性:★★★☆☆
耐久性:★★★★☆
携帯性:★★★★☆
といったように。
このようにすれば、商品それぞれの個性を映えさせることができます。それに具体的な評価が分かったほうが、お客も自分好みのものを選びやすくなります。
ほかには、レビューをコメントのみにするパターンもあります。この手のレビューがLPでは一般的でしょう。私の場合、クライアントから届いた手書きの感想用紙をそのまま掲載しています。
レビューに対してコメントをする
レビューへは、できる限りコメントを返しましょう。
コメントを返されればレビュワーは好感を持ちますし、それを見ているお客にもよい印象を与えます。レビューへのコメントは、早ければ早いほど印象はよいです。
クレームに近いレビューに対しても同じです。
迅速にクレーム対応した痕跡があれば、お客はあなたの会社や商品に対して信頼を寄せます。
レビューに対してどうコメントするかまで含めて、レビューなのです。
一人の女性から告白された後、立て続けに告白された経験、あなたはありませんか? 進化心理学では、女性から告白された男性は、女性同士の間で評価が高まることが知られています。評価が高まることで、ほかの女性からも告白されやすくなるのです。
5.社会的規範であること
社会的規範を活用できる主な分野は、慈善事業やエコ環境、行政や医療です。
営利活動の中で社会的規範を活用できる場面はそう多くありません。強いて言うなら、「エコ商品の販売」や「売上の一部を寄付」がそれにあたります。
社会的規範を活かすには、責任やルールである旨を伝え、あなたに似た人(類似性)が多く賛同していることを伝えます。「この商品を購入した人の70%が△△にご協力くださっています」と。
日本におけるコロナワクチンの接種率は、諸外国と比べて比較的高いです。連日、マスメディアが「家族を守るために」「40代の接種率は70%です」などと伝えることで、社会的規範が促されているからだと考えます。
諸外国も同じように接種率を報道していると思いますが、その中でも日本の接種率が高いのは、やはり「同調圧力」が強いからでしょう。裏返せば、日本人には社会的規範のメッセージが有効的ということです。
一旦まとめ
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』が作用する5つの要素を一旦まとめます。
不安な状態であればあるほど、人は自分以外の人の行動を模倣します。自分に近い人(類似性)であれば特にです。
加えて、評価している人の数が多く、評価が高ければ、さらに強力に作用します。分野によっては、社会的規範を促すこともできるため、覚えておくといいでしょう。
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』を使ったセールスライティング
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』は、主にセールスライティングに活用できます。また、店頭販売であればPOPにも使えます。
ここでは、セールスライティングでの使い方について説明します。
キャッチコピーへの応用
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』に関する情報は、載せられるものがあれば、積極的に載せていきましょう。人気であること、旬であること、多くの人から愛されていることをキャッチコピーで伝えていきます。
具体的なキャッチコピーの例
「売上№1」「人気ランキング1位」「発売から◯日で◯万個突破」「◯◯日で完売」「売り切れ続出!」「行列のできる◯◯」「ベストセラー」「今話題の◯◯」「◯◯になったと喜びの声が続出」など。
あまり知られていませんが、キャッチコピーは、ボディーコピーやクロージングコピーにまで影響を与えます。
たとえば、「◯◯になったと喜びの声が続出」といったキャッチコピーを使ったとします。このコピーを見たお客は「本当に?」と思うはずです。疑問に答える形で、ボディーコピーの上部にはレビューを載せていきます。
ほかにも、「◯日で完売」「売り切れ続出!」といったキャッチコピーを使ったとします。クロージングコピーに「残り◯個しかありません」とあれば、お客は急いで買わなければと、より強く思うはずです。
ボディーコピーへの応用
必ずと言っていいほど、ボディーコピーにはレビューを掲載します。
掲載する場所は主にメリットやベネフィットを伝えた後です。流れで言えば、「こういったメリットやベネフィットが得られます。では、実際に商品を体験した人の話を見てみましょう」です。
これ以外にも、商品説明や証拠を挟んでからレビューを提示することもあります。「こういったメリットやベネフィットが得られます。ベネフィットが得られる理由は~~だからです。科学的な根拠(データ)もこれだけあります。では、実際に商品を体験した人の話を見てみましょう」と。この流れも頭にスッと入ってきます。
どのタイミングでレビューを載せるかは、対象客、価格、商品によって異なります。
たとえば、文字を飛ばし読みする傾向の高い女性に向けた商品なら、商品説明や根拠を省いてレビューをガンガンと押していくLPがいいかも知れません。※女性が飛ばし読みすることは、女性向けの広告では知られた事実です。詳しくは、書籍『ネットで「女性」に売る』(著 谷本 理恵子)にも記載されています。
一方、BtoBの商品やサービスであれば、商品説明や根拠は必要です。BtoB向けの商品は、感情だけでは決定できないため、しっかりとした情報を提供しておく必要があるからです。
レビューまでにどんな情報を載せるかの問題はあるにせよ、販売LPで「レビューを載せない」という状況はほぼありません。一方、商品説明や証拠は状況によっては省くこともあります。
レビューを載せなくてもいいのは、無料レポートのダウンロードやメルマガ登録を促すLPだけです。
レビューの表示方法
レビューをどう表示したら効果があるのか。
それは基本情報がどこまで揃っているかにもよります。顔写真は左側に載せて、右側に感想を載せていくのがいいですね。
頭を悩ますのは、レビューの数が多いときです。
仮に、100人のレビューがあったとしましょう。LPにすべて表示させたら、長々としたLPになってしまいます。とはいえ、100人分のレビューがあるという事実を伝えないのはもったいないですね。
この場合は、レビュー枠の最後に「もっと読む」ボタンを用意します。ボタンを押したらさらに5人~10人程度のレビューが表示されるようにします。まだレビューがあるなら、「もっと読む」ボタンを再度押してもらい、さらに表示されるようにしましょう。
ほかにも、スライダー(カルーセル・スライドショー)機能を使う手もあります。スライダーを使えば、縦に長いLPも短くできるため、デザイン的には洗練されます。ただし、デメリットもあります。
スライダー1枚目は見られますが、2枚目以降が思いの外見られないのです。もしレビュー表示にスライダーを使用するなら、絶対に読んでほしいレビューを1枚目に持ってくることです。
スライダーの2枚目以降は、「これだけ多くのお客様の声があります」と視覚的に見せるためだと割り切ってください。読まれないにせよ、たくさんのレビューを見せることで、「社会的証明の原理」が働きます。読まれなくても無駄にはなりません。
レビューの真実味を高める
真実味は、レビューの根幹です。
いくらレビューがあっても、「ヤラセじゃね?」と疑われたら効果は半減します。
では、どうしたら真実味を高められるのか。
先述しましたが、基本情報(顔写真、名前、性別、住所、年齢、職業)を載せることです。加えて、手書きや動画による感想、レビュワーのFacebookアカウントへのリンクがあれば、真実味はさらに増します。
真実味を高める一つの方法は、不満の声も載せておくことです。企業にとって都合の良いレビューだけではなく、都合の悪いレビューも載せることにより、レビュー全体の信用度が上がります。
これは様々な心理学の実験で証明されている事象です。「欠点やデメリットを先に伝えると、担当者の発言を信じてもらいやすくなる」といったものです。
レビューをただ載せるだけではなく、「真実味はあるか」といった視点を持ってチェックしてください。
まとめ
『社会的証明の原理(バンドワゴン効果)』は、なぜ人の心理に作用するのか、その秘密を進化の観点から解き明かしました。そして、マーケティングやセールスライティングでの活用方法をお伝えしました。
深く正しく理解することで、効果的に活用できるはずです。ぜひ、実践の場で役立ててください。
以下、参考文献
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