『コテンラジオ』に学ぶ、コンテンツに対する基準の高さ

あなたはWeb記事を執筆するにあたり、どれだけ情報収集をしていますか?

高品質な記事を書くためには、情報収集が必要です。
上位記事や検索意図の調査は当然とし、実体験や調査データといった一次情報、競合よりも深い知識を提供しなくてはいけません。そうでなければ、上位表示はできません。

実体験や調査は様々な資本が必要になりますが、深い知識は書籍や論文を漁れば誰でも可能です。さて、あなたはどれだけ書籍や論文を読んでいますか。

情報収集に時間や労力をどれだけ費やしているかによって、記事との向き合い方が見えてきます。今回は、そんな記事に対する向き合い方について考えていきます。

この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在中。
1999年~2009年の約10年間、飲料水、化粧品、医薬部外品、エコ商品などを製造販売する会社に勤務。そこでコピーライティングに出合い、実践と研究を繰り返す。FAXDMだけで90日間に1,533件を新規開拓、2,000件に満たないリストから1億円を売り上げるなどの成果をあげる。
2009年からセールスコピーライター&コンサルタントとして活動を始める。東証上場企業、非上場の大手企業、アフィリエイト専門会社の専属コピーライターとして従事。ほか、個人事業主から中堅企業までの広告・販促物制作に携わる。
「進化心理学×行動経済学」の知見をセールスライティングに落とし込んだ独自の理論を提唱している。

50冊読んで一つのコンテンツ

私の好きなPodcast番組に『COTEN RADIO(コテンラジオ)』があります。世界史を分かりやすくかつ面白く解説している番組です。私は3年前から愛聴しています。

お聞きいただければ分かると思いますが、とにかく情報量が多いのです。相当な下調べをして収録に挑んでいると分かります。

どの回だったかは覚えていませんが、出演者の深井龍之介氏は「一つの収録に挑むのに、関連書籍を50冊は読んでいる」と仰っていました。※収録は3~5回分に分割されて配信されます。

50冊ですよ、50冊!

Web記事で言えば、一つのカテゴリー群(5~10記事)を書くのに、書籍を50冊読むようなものです。これだけの意気込みで番組を作っているのですから、Podcastランキング1位に選ばれるわけです。

あなたがもしコンテンツを作る人なら、自問してください。
自分はどれだけ仕込み(情報収取)をしてからコンテンツを作っているのかと。

YouTube版もあります

Web記事の品質は、基準値で決まる

深井龍之介氏の「関連書籍を50冊は読んでいる」から、学べることは何でしょうか? 私は、「基準値の高さ」だと思います。

深井龍之介氏は、50冊の仕込みをしなければ、まともな番組は作れないと考えているわけです。基準値がすこぶる高い。だからこそ、高品質な番組が作れているわけです。

これは何もPodcastに限った話ではありません。同じコンテンツを扱うWeb記事やYouTube動画、仕事、スポーツ、勉強、趣味にも通じます、

たとえば、プロ野球選手を目指す野球少年と、そうでない野球少年では、「練習をした」と言える基準が違います。前者のほうが圧倒的に練習量は多いはずです。

一流大学を目指す学生とFランを目指す学生では、「勉強をした」と言える基準が違います。前者のほうが圧倒的に勉強量は多いはずです。

仕事ができる人とできない人では、「いい仕事をした」と言える基準が違います。前者のほうが求めているクオリティは高いです。

アウトプットや能力の差は、基準値から生まれます。基準値が高い人ほど、高い能力を身に付け、高品質なものを作ります。

毎日更新ほど基準値の低いものはない

一人の女性のブログ記事を指導した時の話です。
彼女はブログコンサルタントから「毎日更新をしなさい」と教えられ、忠実に実践していました。

しかし、アクセスが思うほど伸びなかったのです。そこで私のもとへ「更新頻度をもっと上げたほうがいいですか?」と相談をしに来たのです。私は「毎日更新という基準値が低すぎる」と返答。毎日更新するのは大変だと思っていた彼女は困惑しました

「一つの記事に全力を尽くせば1週間以上はかかる」と伝え、時間をかけて一つの記事を書くよう指示。何度か添削をくり返し、ようやく一つの記事が完成しました。

結果的には、この記事は上位表示され、ほかの記事を全部合わせたアクセス数よりも多くのアクセスを集めるようになりました。これには彼女もビックリ。今までの基準値の低さを痛感したそうです。

Web記事が上位表示されないのは、書き方が悪いとか、リサーチが不足しているとか、そういった枝葉部分に原因があるのではありません。もちろん表面的にはそれらが原因ではあります。しかし、根本原因は「基準値の低さ」にあるのです。

「上位表示できない」と嘆いている方、記事を書く前に5冊以上の本を読みましたか? そういうことです。

一つのWebサイトを作るなら200冊は必要

Webサイトを作り情報発信するためには、200冊の本による知識、実践とそれに伴う実績が必要だと私は考えています。資格が必要な職種であれば、資格も加えます。

これはあくまでも私の基準です。

私が運営する特化型サイト「セールスライティング解体新書」も基準を満たしているからこそ作りました。コピーライティングや文章術に関する書籍をゆうに200冊以上は読んでいますし、実践経験や成功実績もあります。

また、差別化要因である行動経済学や進化心理学に関する書籍も50冊以上は読みました。定期的に論文も読み漁っています。ここまでやっているからこそ、「このテーマでサイトを作っていい」と思えたわけです。

いろいろな分野を勉強してきましたが、私の中で200冊は一つの基準になっています。200冊読めば、専門家に近い知識は得られます。3日に1冊読めれば、2年弱で済みます。書籍代は、30万円から50万円ほどです。

これぐらいインプットをすれば、競合を圧倒するコンテンツは作れるでしょう。ただし、ここまで没入するためには、基準値はもちろんのこと、興味や関心がなくてはできません。時間もかかります。そういう人だけが生き残れる世界になりつつあるのです。

セールスライティングをするときも

私は、多種多様な業界の会社からセールスライティングの執筆を依頼されます。ニッチな業界の仕事を請け負い、自分の知識やネット上にある情報では足りないことがあります。そんなときは、クライアントから参考になる本を紹介してもらい、注文して熟読します。これだけで数日使います。

制作時間にかかわらず1本いくらの世界ですから、情報収集に時間をかけるほど生産性は下がります。それでも、私の持つ基準値に達するセールスコピーを作るには、情報収集をするほかないのです。

セールスライティングに限らず、さまざまなコンテンツはちょこちょこっと調べた情報をもとに作れば、すぐに作り終わるでしょう。成果もすぐに出るかもしれません。しかし、どこかで頭打ちになります。底が浅いからです。

基準値の高い仕事は、ある意味遠回りです。時間もお金もかかります。ですが、深く根を張れます。後から大きく成長するため、伸び代があるのです。

どれを目指すかは、あなたの自由です。基準値をどこに置くかもあなたの自由です。

私は、高い基準値をお勧めします。たとえ失敗に終わったとしても、必ずあなたの中に何かしらの資産が残るからです。深く追求して得た知識や経験は、決して無駄になりません。今後先の人生にきっと役立つはずです。

おまけ:情報収集を効率化せよ

書籍を読むスピードを上げ、かつコストを下げる方法は、
Amazon Audible」(月額1,500円)と「Kindle Unlimited」(月額980円)への加入です。どちらも本の到着を待つ必要がありませんし、無料で読めるものが数多くあります。私はこの2つをフル活用して、月に15冊以上は読んでいます。