『踊る大捜査線』に学ぶ、机上の空論で作るペルソナという愚策

一大ブームを巻き起こした『踊る大捜査線』。
作中の「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」という台詞は、シリーズを知らない人でも耳にしたことがあるはず。

事件(リアル)を知らず机上の空論だけで物事を進めようとする事象は、実はセールスライティングの現場でも起きています。
それは何かと言えば、「ペルソナ作り」です。

今回は、いかに「ペルソナ作り」が的外れなのかを解説します。

「事件は会議室で起きてるんじゃない」

映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 』では、湾岸署管内で警視庁副総監が誘拐され、本庁主導の捜査本部が設置されます。
会議室で上層部が集まって捜査方針を決めている最中、青島たち所轄の刑事は現場で被害者や犯人と向き合っています。

物語終盤、青島たちは犯人確保のチャンスをつかみます。
しかし、本庁の捜査員が到着するまで待つよう指示され、青島が叫びます。
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」

なぜ、会議室にいる上層部と、現場にいる青島たちで判断がズレたのか。
答えは単純です。

捜査本部は現場を見ていないが、青島たちは現場を見ている。

その情報の差が判断に影響を与えているのです。

お客も、会議室にはいない

マーケティングでは、商品を買ってくれる典型的なお客を具体化するために「ペルソナ」を作ることがあります。

たとえば、
「42歳・女性。東京都世田谷区在住。夫と小学5年生の娘との3人暮らし。週3日のパート勤務。休日はInstagramを見たり、友人とカフェへ行ったりする」
といった人物像です。

問題は、このペルソナをどうやって作ったのかです。

会議室にマーケターが集まって、
「40代女性なら、そろそろ老後が気になるよね」
「子どもの教育費にも悩んでいるんじゃない?」
「Instagramをよく見てそう」
などと話し合って作ったのであれば、いくら細かく設定しても架空の人物です。

しかも厄介なのは、名前、年齢、仕事、家族構成、趣味まで決めるほど、本当にそんな人が存在するように感じてしまうことです。

すると、
「このペルソナなら、この言葉に反応するだろう」
「このペルソナなら、価格より安心感を重視するはずだ」
と、架空の人物から架空の心理を作り始めます。

これは『踊る大捜査線』でいうなら、現場を見ないまま会議室だけで事件を組み立てている状態です。

ターゲット顧客の解像度を上げる考え方は間違ってはいません。
問題は、現場を見ずにペルソナを作ることにあります。

ペルソナなんて作るな、顧客像は探れ

私もセールスコピーを書くときには、誰に向けて書くのかを明確にします。

ただし、頭の中だけでお客を作り上げることはしません。
現場を見ている社長、もしくは従業員にお客様について話を聞く。
また、実際に購入しているお客様のニーズや行動について、私が用意しているリサーチシートに記入してもらいます。
もし叶うなら、お客様とのインタビューもさせてもらいます。

こうしたリサーチをすることで、リアルで精度の高い顧客情報が手に入るのです。

特に重要になるのが、「欲求」です。
どんな欲求を抱えているのかを様々な角度から探っていきます。

・どんな悩みを持っているのか。
・その悩みを感じる場面はいつどこなのか。
・その時、どんな言葉や行動を取るのか。
・本音をどこでぶちまけているのか。
・その悩みが解消されてどうなりたいのか。
・悩みから解消されたら何をやりたいのか。
・悩みが解消されたら、人からどう見られたいのか。
・解決策を選ぶ際に重要視する要件は何なのか

これらの情報を得るために、データを見たり、インタビューをしたり、検索キーワードを調べたり、SNSやレビューから言葉を拾ったりします。

欲求が見えてくれば、対象顧客のイメージが浮かんでくるようになります。
ペルソナなんかを作っているよりも、ずっと意味があります。

まとめ

「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」
お客の悩みも、欲求も、購買行動も、机上では見えてきません。
お客様と触れている人、お客様自身に話を聞かなくては、顧客像は見えてこないのです。

そうして集めた事実から、一人のお客の姿を浮かび上がらせる。
ペルソナなんて作る暇があるのなら、お客様から話を聞くほうが何倍も顧客像を理解できます。

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この記事を書いた人
セールスコピーライター
深井 貴明

広島県在住。
1999年から2009年までの約10年間、飲料水・化粧品・医薬部外品・エコ商品などの製造販売会社に勤務。在職中にコピーライティングと出合い、実践と研究を重ねる。FAXDMだけで90日間に1,533件の新規顧客を開拓し、DMのみで1億円の売上を達成するなど、数々の成果を上げる。

2009年より、セールスコピーライター兼コンサルタントとして独立。東証上場企業をはじめ、非上場の大手企業やアフィリエイト専門会社のコピーライターとして活動。また、個人事業主から中堅企業まで幅広く広告・販促物の制作を手がけている。

単なるライティングにとどまらず、常にマーケティング戦略の見直しから取り組み、成果へとつながる言葉を生み出すことを信条としている。

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