世代を超えて愛される漫画『ドラゴンボール』。
数々の強敵との戦いや名シーンがありますが、なかでも印象に残っているのは魔人ブウ編の最終決戦です。
この戦いで地球を救う大きな役割を果たしたのは、主人公の悟空ではなく、ミスター・サタンでした。
悟空の言葉で動かなかった地球の人々が、サタンの言葉に応じたことにより、魔人ブウを倒せる元気玉が作れました。
なぜ人々は、悟空の言葉には動かなかったのに、サタンの言葉には応じたのか。
ここに、人が動く秘密が隠されています。
そこで今回は、元気玉の名シーンから「人を動かす要素」について考えてみたいと思います。
悟空ではなく、ミスター・サタンが人々を動かした
漫画『ドラゴンボール』第42巻で、悟空は魔人ブウを倒すために元気玉を作ります。
元気玉を完成させるには、地球にいる人々から少しずつエネルギーを分けてもらわなくてはいけません。
悟空は界王様の力を借りて、地球に住む人たちに「元気を分けてほしい」とお願いをします。
ですが、地球の人々は簡単には応じてくれませんでした。無理もありません。
突然、得体の知れない男の声が頭に響いて、何かを頼まれても動揺するだけです。
そこで立ち上がったのが、ミスター・サタンです。
サタンが地球の人々へ呼びかけると、人々の反応は一変しました。
なぜならサタンは、世界チャンピオンとして知られ、過去に人類を救った英雄だからです(本当は悟空たちが救っているんだけど)。
サタンからのお願いに、人々は一斉に手を上げはじめます。
そしてついに巨大な元気玉が完成し、魔人ブウを倒すに至ったのです。
同じお願いをしているのに、悟空では動かず、サタンなら動く。
この違いを生んだのは、言葉の内容ではありません。
「誰が言ったのか」という信用の差です。
正しいことを言っても、信用がなければ届かない
悟空は、実際に魔人ブウと戦っている当事者です。
必死にお願いするも、地球の人々を動かせませんでした。
一方のサタンは、魔人ブウを倒せるほど強くありません。
しかし、地球の人々との間には信用があったのです。
人は、メッセージの内容や熱量だけを見て判断しているわけではありません。
「この人は信用できるのか」
「この分野について語る資格があるのか」
こうした情報も含めて、話を受け入れるかどうかを決めているのです。
どれだけ正しい情報でも、信用がなければ疑われる。
一方、たとえ不確かな情報でも信用のある人からの情報であれば、信じてもらえる。
この事象は、人が物事を判断するときに重要になる心理です。
当然、物を売るときにも重要になります。
信用は、他人から借りられる
「信用されないと物は売れないよ」と言われても、
「そんなことは知っている!」と思われるでしょう。
ですが「知っている」と「行動に移している」のとでは、次元が全く違います。
私は仕事柄、「新商品を売るためのコピーを書いてほしい」と依頼されることがあります。
新商品の場合、特にコピーを書く前段階で、信用を固める素材をどれだけ集められるかが重要になります。
たとえば
・プレスリリースを出してメディアに取り上げてもらう
・研究機関や品質評価に検査を出す、出品して受賞する
・芸能人やインフルエンサーに使ってもらう
・既存客に使ってもらいレビューを書いてもらう
・専門家から推薦をもらう
コピーよりも、こうした信用を借りてくる努力をするのが先です。
素材がないなりにもコピーは書けますが、あるに越したことはありません。
身近な例として、
出版業界では、著者よりも推薦者の名前や顔写真がデカデカと載せている本をよく見かけます。
あまりにもデカく載っているせいで、推薦者を著者と勘違いして本を買ってしまう人もいるぐらいです(褒めていない)。
あれがまさに、権威性を借りてきている良い例ですね。
まとめ
ミスター・サタンは、悟空より強かったから地球人を動かせたわけではありません。
地球人がよく知っている人物であり、信用している英雄だったからです。
セールスコピーも、言葉だけで人を説得しようとしてはいけません。
まだ信用を得ていない売り手の主張は、正しくても疑われます。
そんなときは、専門家の推薦、顧客の声、実績、メディア掲載、書籍や論文などから信用を借りてきます。
地球にいる人々を動かし、元気玉を大きくしたのは、言葉の強さではありません。
信用の大きさなのです。
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深井 貴明
広島県在住。
1999年から2009年までの約10年間、飲料水・化粧品・医薬部外品・エコ商品などの製造販売会社に勤務。在職中にコピーライティングと出合い、実践と研究を重ねる。FAXDMだけで90日間に1,533件の新規顧客を開拓し、DMのみで1億円の売上を達成するなど、数々の成果を上げる。
2009年より、セールスコピーライター兼コンサルタントとして独立。東証上場企業をはじめ、非上場の大手企業やアフィリエイト専門会社のコピーライターとして活動。また、個人事業主から中堅企業まで幅広く広告・販促物の制作を手がけている。
単なるライティングにとどまらず、常にマーケティング戦略の見直しから取り組み、成果へとつながる言葉を生み出すことを信条としている。





